ダム建設に消えゆく集落 残したい味さしみこんにゃく

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長沢幹城、村上英樹
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 ダム建設で消える佐賀県神埼市の集落で、地元に伝わる料理のさしみこんにゃくが復活した。30年余りダム建設への賛成・反対で割れた集落の住民がいま、ふるさとの味を囲み、山あいに笑い声が響く。

 県中部、脊振山地のふもと同市脊振町の岩屋と政所の両地区には約50世帯、100人余りが暮らす。大半が65歳以上だ。城原川沿いの田畑が広がる集落に、国土交通省のダム建設の話が持ち上がったのは1970年代だった。

 集落はダム建設をめぐり、賛成派と反対派に割れた。署名活動も別々。選挙でも争い、住民同士が道ですれ違っても口をきかず、冠婚葬祭で声をかけない時期もあったという。多目的ダムから環境破壊に配慮した治水専用ダムに国が計画を変え、2005年、地域振興策も示されたことから反対派も合意した。

 「みんな年をとったし、地域が元気になるように、何かできないかという思いでした」。岩屋地区代表の鶴田良治さん(73)たちが中心となり、20年、住民組織を統合。両地区の名から1字ずつとった住民団体「岩政ハッピーサロン」を立ち上げ、同年10月から隔週で地元野菜などを売るマーケットを開く。

 主力商品の一つとして考えたのが、集落の各家庭でつくられていた、さしみこんにゃくだった。作り手がおらず途絶えた味だった。

 稲わらを燃やした灰に何度も水をかけ、こした水と干したこんにゃく芋をミキサーで混ぜ、火にかけて冷ます。温かいうちは淡いピンク色をしていることから「桜こんにゃく」とも呼ばれた。各家庭が盆や正月に分け合い、味の違いを楽しんだという。

■「みんな集まらんね」 対立…

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