家具の「強さ」を生む ハンマーが響かせる心地よい音

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内藤尚志
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凄腕しごとにん

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「水平と直角」をつくることを意識して作業する。家具にとって最も大事な「安全」を損なわないためだ=茨城県取手市、門間新弥撮影

小島工芸 組み立て工程主任 済賀元さん(39)

 少子化の逆風にさらされてきた家具業界が、にわかに沸き立っている。コロナ禍の「巣ごもり需要」が追い風だ。木製の本棚や机で知られる小島工芸(東京)にも、次々と注文が舞いこんでいる。

 ダッ、ダン。ダッ、ダッ、ダンッ――。

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本棚の組み立て工程に欠かせないゴム製ハンマーを持つ済賀元さん。柄の部分は木製だ=門間新弥撮影

 茨城県にある工場の一角に、ゴム製のハンマーで木の板をたたく音が響く。クギをほとんど使わずに組み立てて製品にする。板同士をしっかりと接合するには、たたく作業が欠かせない。

 組み立て工程を担うのは、兼務も含めて3人ほど。そのリーダー役をまかされている。つくるのは1日に約60~80台。「製品の形になる前の最後の工程。責任は重い」

 2000年に入社してから組み立てひと筋で、「ほかの担当に移りたいと思ったことはない」。21年間でつくった製品は、本棚だけでも20万台以上になる。

 板の端には多数の小さな穴が開けてある。そこに接着剤を流し、木ダボと呼ばれる短い棒をさし込んで、別の板とつなぐ。ハンマーでたたいた後に機械でも押し、接合部のすき間をなくす。それから薄い裏板を貼りつければ、組み立ては終了だ。

 重要なのが作業のスピード。売れ筋の幅90センチ・高さ180センチの本棚なら、5分ほどで済ませないといけない。もたもたしていると、先に接着剤が乾いてしまう。それによって木ダボがしっかりと穴に入らず、接合部にわずかなズレやすき間ができれば、命取りになりかねない。製品の安定性と強度が落ち、倒れたり壊れたりしやすくなる。地震の多い国では、家具は「凶器」になり得る。

 ポイントは、ハンマーでたた…

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