道頓堀に在留カードの「偽造工場」か SNSで客募集

小松万希子
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 外国人が日本に中長期にわたり在留するために必要な在留カードの偽造物を所持したとして、中国籍の30代の男が2月、出入国管理法違反の疑いで愛知県警に逮捕された。男は外国人から「注文」を受けて偽造カードを発送、1千万円以上を売り上げていたという。県警は、男が大阪で大規模な「偽造工場」を稼働させていたとみて調べている。

 大阪・ミナミの道頓堀の中心地から歩いて5分ほどの場所にある2階建ての雑居ビル。玄関のガラス戸越しに大量の靴が見えた。近くには中華料理店や中国人経営とみられる食料品店、中古品店が集まっていた。

 県警は2月、このビルを家宅捜索し、プリンターや白無地のカード約7千枚、ホログラムのフィルムなどを押収した。タブレット端末「iPad」には、在留カードの偽造を依頼した客とみられるベトナム人やインドネシア人らの氏名や住所など、約1500件の情報が残っていた。マイナンバーの通知カード、運転免許証、健康保険証などのデータも見つかった。偽造カードは本物と見分けがつかないほど精巧だったという。

 捜査関係者によると、このビルが偽造工場になったのは昨年7月ごろ。中国にいる指南役が、男に対話アプリ「微信(ウィーチャット)」で指示を出していたとみられる。男はSNSで注文を受け、1枚5千円ほどで販売。県警は、昨年12月までの半年間に1千万円以上の売り上げがあり、大半は指南役が得ていたとみている。今後、偽造カードの発送先などを捜査する方針。

 こうした偽造工場の摘発は各地で相次いでおり、今回はこれまでで最大級の規模という。捜査関係者は「ノウハウも機材も、偽造技術が高い中国から来ている。摘発しても別の誰かがいつでも始められる」と話す。出入国在留管理庁は、雇用主が在留カードの番号を入力すると有効かどうかを確認できるサイトを立ち上げ、偽造対策を強める。

 名古屋地検は3月、男とともに逮捕された別の30代の男の偽造カード作成容疑について不起訴処分とした。(小松万希子)