脱トランプ政権で復活模索のG7 中国は「歴史に逆行」

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ワシントン=園田耕司、青山直篤、ロンドン=金成隆一 佐藤達弥、北京=高田正幸
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 ロンドンでの主要7カ国(G7)外相会議は、米国が主導する「多国間協調」を国際社会に印象づけるものとなった。対中国では、米国の強硬姿勢に各国が足並みをそろえる形となり、中国側からは反発も出ている。

 「G7の復活以上だった」

 米国務省高官は4日、今回の外相会議をこう評価し、米国の国際協調路線への回帰を強調した。高官はG7を「1970年代から最も志を同じくするグループ」と定義し、友好関係のなかでもとりわけ重視している考えを示した。

 米欧関係は「米国第一」を掲げたトランプ前政権のもとでぎくしゃくした。米国にとって、バイデン政権発足後初めてとなる今回のG7外相会議は、国際舞台で議論をまとめる指導力を示す場となった。

 米側が今回、最も力を入れたのが、「唯一の競争相手」と位置づける中国をめぐり、各国に米国の強硬姿勢と足並みをそろえさせることだった。米国の思惑通り、会議では中国問題が議題の中心を占めた。共同声明では、台湾海峡や人権の問題に加えて経済分野にも言及。経済力を「武器」として使い、輸出規制や技術移転の強要などを通じ、他国に圧力をかけてきた中国の姿勢を指して「恣意(しい)的で威圧的な経済政策」と批判した。「中国が世界における経済的役割にふさわしい義務と責任を果たすよう強く促す」と盛り込んだ。

 米国には中国が巨大経済圏構想「一帯一路」などを通じ、自国に有利な形で途上国での通信網やインフラ開発を進めているとの懸念も強い。バイデン大統領は3月、G7議長国の英ジョンソン首相に対し、一帯一路に対抗する必要性を強調。実際にG7としてまとまった対抗構想を具体化させるのは容易ではない。だが、共同声明では「自由で公正な経済システムを損なう慣行について一致して懸念を表明する」と述べ、足並みをそろえた。

 米国は今回、政権発足間もない時期にG7の機会を利用して中国に関する問題で各国の認識を一致させることができたことで、とくにトランプ政権下で「形骸化」が指摘され続けてきたG7の場を有効に活用したといえる。米国はG7各国の支持をもとに、外交・軍事・経済のあらゆる分野で中国への攻勢をさらに強めるとみられる。

 一方、米国は北朝鮮の核ミサイル問題をめぐり、過去の米政権の対北朝鮮政策を見直し、新たに「現実的アプローチ」をとることを各国に説明し理解を求めた。今後は北朝鮮に対価を与えながら、長期的に段階的な非核化を目指すことになる。ただし、共同声明では、あくまでも最終的な目標は「完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄」だと強調。北朝鮮を「核保有国家」と事実上認めると不安視する見方の払拭(ふっしょく)を狙ったとみられる。

 議長を務めた英国のラーブ外相は会議後、「開かれた社会と経済、それらを支える秩序や価値観を強化する必要性があるとの認識を共有した」と成果を強調する声明を発表した。

 欧州各国は中国との関係に濃淡はあるが、人権や民主主義を重視するバイデン米政権の発足を歓迎する点では一致する。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表も「最も重要な民主主義の仲間と、いい議論ができた」と話した。(ワシントン=園田耕司、青山直篤、ロンドン=金成隆一)

対中国で思惑にずれも

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