NYすぐ近くの原発を閉鎖 環境団体なのに反対する理由

有料会員記事

ニューヨーク=中井大助
[PR]

 米国の最大都市、ニューヨークからわずか50キロしか離れていない原子力発電所が、4月末で営業運転を終了した。事故が起きた場合の影響の大きさが長年にわたって指摘されており、閉鎖を歓迎する人が多い。ただ、気候変動が喫緊の課題となるなか、米国では「脱炭素」の動きも強まる。「原発の閉鎖は、温暖化ガスの排出増加につながる」という声も出ている。

 ニューヨークから車で約1時間、ハドソン川沿いに進むとインディアンポイント原発が見えてくる。1974年と76年に営業運転を始めた2機の加圧水型炉は、50年近くにわたってニューヨークに電気を送ってきた。しかし、片方は昨年4月に発電を終え、もう片方も4月30日に営業運転を終了した。

 大きな理由は、安全性をめぐる懸念だ。ハドソン川の環境保護を求める団体「リバーキーパー」のポール・ギャレイ会長は「ハドソン川にとっての最大のリスクは、インディアンポイント原発だ」と語る。冷却のために大量の水が使われ、川にすむ魚の死亡につながるうえ、仮に事故があった場合の影響が計り知れないからだ。「原発の周辺80キロ圏内には2千万人が暮らし、事故があっても避難は現実的でない」とギャレイ氏は話す。

 特に、東日本大震災に伴って福島第一原発の事故が起きてからは、ニューヨークでも危険性が意識されるようになった。以前からインディアンポイントに反対だったニューヨーク州のクオモ知事は東日本大震災の直後、連邦政府に検討を要請。リバーキーパーなどが運転免許更新の停止を求める訴訟を起こしたこともあり、事業者も17年、21年までの閉鎖に合意した。

 環境保護団体「天然資源防護協議会(NRDC)」のキット・ケネディ氏は「現在の安全基準であれば、インディアンポイントは設置も認められない場所にある。01年の同時多発テロでは、ハイジャックされた飛行機の一つがすぐ近くを通ったことでも、危険性が示された」と語る。NRDCは全ての原発に反対しているわけではないが、インディアンポイントの閉鎖は以前から求めており、営業運転終了を歓迎する。

 ところが、環境保護を訴える…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。