普天間返還合意から25年が経ったいまも、米政府は現行計画を推進する立場です。見直しを求める声は米国内では高まっていないのが現状です。合意当時の橋本龍太郎首相やモンデール駐日米大使と意見交換をしたジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ准教授に、当時と今の政治状況の違いや、解決策を聞きました。
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なぜ、普天間は動かないのか。これからどこへ向かうのか。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の電撃的な返還合意から25年。節目の今年、ワシントン、東京、沖縄にいる朝日新聞記者たちが、日米沖の政治家や官僚、識者や普天間周辺で暮らす人たちに取材しました。
――普天間返還合意から25年が経ちましたが、合意は実現していません。
「日米両政府は現行計画を推進しようとしていますが、私は間違っていると思います。いくつかの理由があります。一つは、埋め立て予定地の軟弱地盤など、辺野古の代替施設固有の問題です」
Mike Mochizuki
1950年生まれ。専門は日本政治や外交政策、日米関係、東アジア安全保障。著書に「沖縄ソリューション」(共著)など。米軍基地問題を検討する沖縄県の諮問会議「万国津梁会議」の委員。
「二つ目は、25年前とは大きく異なる、戦略的な環境の変化です。大きな変化が、中国と日米の軍事バランスです。日本に駐留する米軍、特に沖縄に駐留する米軍は、中国のミサイル攻撃に対して非常に脆弱(ぜいじゃく)です。いまはバイデン政権入りしている何人もの人々が、特定の地域に米軍を集中させることは非合理的だと指摘していました」
「三つ目は日米同盟です。私…
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