ウーバーイーツが新報酬体系を全国に拡大 配達員は反発

藤えりか土屋亮
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 飲食宅配代行サービス大手「ウーバーイーツ」が一部の地域で先行導入し、配達員から「水準の引き下げだ」との声があがっていた新たな報酬体系を10日から全国に広げることがわかった。配達員はウーバーの仕事を請け負う個人事業主で、労働法制でも保護されておらず、巨大プラットフォーム企業との力の差は大きい。一方的な変更に反発が強まっている。

 新体系は3月1日から京都市福岡市で、4月12日からは神奈川県那覇市でも導入。配達員の労働組合「ウーバーイーツユニオン」は反発し、ウーバーなど事業者が「配達員との関係構築」を掲げて3月に発足させた「日本フードデリバリーサービス協会」に公開質問状を出していたが、ウーバーは対象地域の全国への拡大を決定。今月5日に「詳細な配達リクエスト内容の事前提示と新料金体系に関する案内」とするメールを配達員らに送り、通知した。

 複数の配達員によると、これまでの報酬体系は東京都内だと、店で料理や商品を受け取る料金が265円、注文者に届ける料金が125円。これに店から配達先まで1キロあたり60円を加算した後、10%の手数料を差し引くといった内訳が明示されていた。一方、新体系では配達にかかる時間や距離、繁忙状況などをもとにウーバー側が決め、配達員に内訳は示さない。

 今回の変更についてウーバーの日本法人の広報担当者は「注文数や稼働中の配達員の状況など、従来の方法では計算できない要素を反映するもの。平均報酬額は新体系の導入前と変わらない」と説明する。従来は仕事を請け負う前にはわからなかった店名や配達先などを事前に示し、配達員の利便性を高めるシステムの変更も行う。これは「配達員の要望を受けた」措置だという。

 ただ、ユニオンなどによると、先行地域では1回の配達が100円台だったり、距離にかかわらず一律300円とされていたりする事例が多く報告されているという。土屋俊明・執行委員長(44)は「内訳が分かれば理由を聞いたり、改善を求めたりできる。あいまいにするのは、報酬額を下げるためでは」と話す。

 世界最大手のウーバーイーツは2016年秋に日本に参入し、今年4月7日現在で35都道府県でサービスを展開する。19年にも基本報酬の引き下げを実施しており、ユニオンが団体交渉を求めたが応じなかったケースがある。東京都内でウーバーを含む複数社に登録する男性配達員は「大多数の飲食店や消費者がウーバーを利用し、回ってくる仕事も圧倒的に多い。報酬が下げられたからといって、他社に乗り換えるのも難しい」と語る。藤えりか土屋亮

ウーバーイーツ配達員の報酬体系

【これまで】

●飲食店や小売店での受取料金   265円

●注文者に届ける料金       125円

●店から注文者までの配送距離1キロあたり 60円

東京都の場合

【5月10日から】

●繁忙に応じて報酬が変わる「ダイナミックプライシング」の要素を導入

●報酬の基準、内訳は示されず

●先行地域では1回の配達が100円台などの事例があり、報酬水準が下がる懸念も