日鉄とJFE、3年ぶり黒字へ 22年3月期の見通し

江口英佑
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 鉄鋼大手2社は7日、2022年3月期が3年ぶりの黒字になるとの見通しを発表した。自動車や家電など製造業向けを中心に鋼材の需要が戻り、固定費の削減も進む。ただ脱炭素の要求は強まり、長い目で見た先行きは厳しさを増す。

 21年3月期はコロナ禍で自動車の生産が滞るなどして鋼材の需要が減った。大手2社以外も含む国内の粗鋼生産量は、前年より16%少ない8279万トンと、半世紀ぶりの低水準だった。ただ、昨秋からは需要が回復。22年3月期は9千万トン~9500万トンほどと見込まれている。

 こうした状況を追い風に日本製鉄は、22年3月期の純損益を2400億円の黒字と予想する。21年3月期の324億円の赤字から大きく改善する。

 固定費の削減も効く。高炉の廃止を中心に200億円の収益改善を見込む。今秋までに、広島県呉市で高炉2基を、和歌山市で1基をそれぞれ廃止する。橋本英二社長は「徹底して固定費を下げ、損益分岐点を大きく下げた」と話す。

 2位のJFEホールディングス(HD)も黒字への転換を見込む。21年3月期は218億円の赤字だったが、22年3月期の純損益見通しは1300億円の黒字を予想する。

 ただ両社とも長期の先行きは不透明だ。鉄鋼業界は日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量の13%を占めており、抜本的な削減を求められている。

 日鉄は30年度のCO2排出量を13年度比で30%減、JFEHDは20%以上の削減をめざすと公表していたが、政府は今春になってCO2を含む温室効果ガスの46%削減を打ち出した。

 この日の記者会見で、日鉄の橋本社長は「我々はこれから技術開発していく。46%減にします、と無責任に言えない」と述べた。一方で、JFEHDの柿木厚司社長は「20%を大きく上回る数字を出したい」と発言。新たな目標を改めて公表するとした。

 両社を含む鉄鋼メーカーはCO2を大量に出す高炉の代替として、電炉の導入のほか、水素やメタンを使った製鉄法の開発も進めつつあるが、技術やコストなどの面で課題は多い。(江口英佑)