宿泊特化型ホテルに力 JR四国の非鉄事業 専務に聞く

福家司
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 JR四国の2021年3月期決算は、過去最大の営業赤字となった。中でも非鉄道事業はJR他社に比べて立ち遅れているといわれている。3月末に公表した2021年度から5年間の中期経営計画では非鉄道事業の収益拡大を盛り込んだが、厳しい経営状況が続く鉄道事業を支える存在に成長させることができるのか。事業開発本部長の森下聖史(きよし)専務(56)に聞いた。

 JR四国は1987年の会社発足以来、鉄道事業は赤字続きだ。森下専務は「年々運輸収入が減少して鉄道網の維持が困難になり、これまでは非鉄道事業に経営資源を投入する余裕がなかった」と振り返る。

 3月末、国による5年間で1025億円の財政支援が決定。「当面の存続の基盤はできた」として、収支改善を目指して非鉄道事業に再び積極的に取り組む方針に転換したという。

 ホテル事業では、結婚式や宴会利用も想定した「クレメント」(高松、徳島、宇和島)よりも、宿泊特化型の「クレメントイン」に力を入れる。高松、高知に続き、今秋には今治でも開業予定だ。「料飲部門が地域経済に左右されるクレメントと違い、クレメントインはインバウンドが回復すれば需要が見込める」

 駅ビルの事業は高松駅のほか、高架化が予定される松山駅でも進め、「駅周辺の土地を賃貸している高知駅周辺でも可能性を探る」という。

 長年中断していたマンション事業についても、大手不動産会社と手を組み、各地でマンションの販売を担い始めた。「将来は自力で開発できるようにしたい」。岡山でもマンション開発を進めるが、「四国に根ざした会社なので、原則は四国が中心」とエリア外への展開には慎重だ。

 さらに、「将来はM&A(企業合併・買収)による事業承継などで新規事業に乗り出すことも検討すべき時が来ている」とも話す。

 中期経営計画では、経常利益の連結貢献額10億円を非鉄道事業で稼ぎ出すとしており、鉄道事業が大半を占める単体の経常利益(3億円)を上回る。「達成不可能な数字ではない」というが、ホテル業などを中心に依然としてコロナ禍の影響は大きく、見通しは明るいとは言えない。(福家司)