やまゆり園で採火式、市が断念 遺族、市長発言を疑問視

土屋香乃子、岩堀滋
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 神奈川県相模原市は7日、障害者ら45人が殺傷された「津久井やまゆり園」(同市緑区)で東京パラリンピックの採火式を行うことを断念すると発表した。遺族らは一定の評価をしつつも、本村賢太郎市長が同園で採火式を開く構想自体は「共生社会を実現させる点で間違っていない」と述べたことを疑問視している。

 場所の変更を求める声を受けて、市は遺族と利用者家族に計166通の手紙を送付し意見を求めた。市によると、7日現在で52通の回答があり、うち過半数の27通は「賛成」と回答。一方で、メールや電話、ファクスなどで100件を超す反対意見が寄せられた。

 採火場所の変更について本村市長は記者会見で「ご遺族らに事前説明していたとしても、いろいろな意見があるので実施は困難。お気持ちに寄り添うため考えを改めないといけないと判断した」と説明した。

 事件で重傷を負った尾野一矢さん(48)の父・剛志さん(77)も記者会見し「やらないと聞いてほっとした」と話した。事件で犠牲になった美帆さん(当時19)の母親は「ホッと胸をなでおろしています。変更は、反対意見を寄せてくださった多くの方々のおかげです」とのコメントを、代理人の滝本太郎弁護士を通じて出した。

 一方、本村市長は「園での(採火式の)実施は間違っていない」とも述べた。剛志さんは「重度の知的障害のある人のことをどう考えているんだろう」、滝本弁護士は「市長の考えとはいまだに大きなずれがある」と指摘した。(土屋香乃子、岩堀滋