28歳で亡くなった力士 新聞の投書につづっていた思い

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 「財布を通して亡き父と会話」

 今から11年前の7月25日、朝日新聞の「声」欄に、このような見出しの投書が載った。寄せてくれたのは山口県の高校3年生、天野光稀さん。

 中学の時に亡くなった父の財布を見つけた。中には父の証明写真。久しぶりに向き合うと、照れくさくて伝えられなかった思いがこみ上げた、というエピソードだ。この記事はいまも、天野家にしまわれている。

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 天野さんは当時、県立響高(現下関北高)の相撲部で主将をしていた。

 身長178センチ、体重140キロ。全国高校総体の団体戦で16強に入り、相撲部監督だった朝岡輝喜さんと縁があった大相撲の境川部屋へ入門を決めていた。卒業前、体育館で開かれた壮行会では級友らから「フレー、フレー、天野!」とエールが沸いた。

 力士になって10度目の春。今年4月28日夕、天野さんは都内の病院で息を引き取った。28歳。急性呼吸不全と発表された。

 「響龍(ひびきりゅう)」。母校から一字取ったしこ名で、天野さんはその1カ月前、東京・国技館の土俵に立っていた。給料がもらえるようになる十両には遠い、三段目の地位。それでも3勝3敗で迎えた春場所最後の一番に、勝ち越しをかけていた。

 相手も3勝3敗。土俵際で投…

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