第1回水面下で検討「東京ロックダウン」 幻と終わった規制策

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 新型コロナという未知のウイルスが首都・東京を襲ってから1年余り。「強く短く」をうたった3度目の緊急事態宣言は延長を余儀なくされた。感染拡大をどう抑え込めばいいのか。その宣言前、東京都の水面下の動きが、内部資料や関係者の証言から判明した。

     ◇

 3月28日、東京・西新宿。都庁舎の一室で、小池百合子知事ら都の最高幹部が一堂に会していた。

 朝から降っていた雨は、昼過ぎにはやんでいた。2カ月半続いた2度目の「緊急事態宣言」が解除されて初めての日曜日。その前日は天候に恵まれ、都内の公園にはマスクをしないで飲食する花見客の姿が見られた。午後9時までとする営業時間短縮要請を守らない飲食店も出始めている。

 感染拡大対策は、人の流れを抑えること――。折に触れ、こう発信してきた小池知事は、焦っているようにも見えた。「ウイルスにとって良い環境をつくらない週末であってほしい」と事前に呼びかけたが、人出が収まることはなかった。

 小池氏と最高幹部らの会合が開かれたのはそんな時だ。毎週日曜日に開催される勉強会。出席した都の幹部は、配られた資料のあるページに目をとめた。

 「1week 5km 10km ステイ」

 なんだ、これは――。

「ここまで強力にやるのか……」。勉強会の資料には、都の幹部が「事実上のロックダウン」と感じた、具体的な自粛要請の内容が書かれていました。

 その幹部が驚きとともに38…

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