第2回「最後のカード」効かない 3度目の宣言、増える感染者

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 「第4波」と呼ばれる、今春の新型コロナウイルスの感染拡大。これまでとの違いは、感染力が強いとされる変異株に置き換わりつつあることだ。このウイルスの由来とされる英国では、「ロックダウン」を実施しても感染拡大を防げなかった。

 その変異株の脅威によって、東京都に先んじて感染が拡大した大阪府吉村洋文知事は4月27日、ロックダウンの前提となる私権制限について、こう語った。

 「いま議論すべき。タブー視して、そこを議論せずに終わらせていいのかという疑問を持っている」

 収まらない新規感染者数。逼迫(ひっぱく)する病床。ある大阪府幹部は「医療が極限状態にあるなか、できるのは事業者への間接的な休業要請だけ」とした上で、「個人にも何らかの制限は必要だとの思いは知事にはある」と話す。

 大阪府はこの9日後、5月11日が期限だった緊急事態宣言の延長を政府に要請する方針を決めた。

 都庁内でも同じ時期、ロックダウンをめぐる議論の必要性に言及する声は出ていた。ある幹部は「日本の感染対策はロックダウンができないなか、色々と限界に来ている」と語る。

 「個人の自由を法律で縛るのは憲法上疑義が生じるが、必要かどうかの議論はすべきだ」

 だが、都庁内部では、ロックダウンという言葉は、1年余り「封印」され続けてきた。

「ロックダウンなど強力な措置を取らざるを得ない状況が出てくる」。2020年3月23日、小池百合子都知事の、緊急の記者会見での発言が波紋を広げることになります。

ネット上で飛び交った根拠のない情報や批判

 そのきっかけは、昨年3月2…

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