EU「短期解決策にならず」 米のワクチン特許免除案に

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ブリュッセル=青田秀樹
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 米国が新型コロナワクチン知的財産(特許)の保護を一時免除する考えを示したことについて、欧州連合(EU)は8日、ワクチンを広く行き渡らせる短期的な解決策にはならないと表明した。議論には応じるものの、長期的な課題として扱いたい意向だ。

 ポルトガル北部ポルトで開かれた首脳会議後の記者会見でミシェル常任議長が説明した。様々な議論があったとしつつ、「短期的にみて(特許の開放は)魔法のような手段ではないというのが多くの意見だ」と総括した。

 EUは、ワクチンの生産には技術の移転や労働者の習熟などが必要だと指摘している。フォンデアライエン欧州委員長は「議論は大事だが長期的なテーマだ。喫緊の課題は(現行の)生産能力の拡大だ」とした。また、「ワクチンは、今、必要とされている。安定的な生産は難しく、(契約通りに)供給できていない製薬会社が現状でもあるほどだ」とも付け足した。

 米バイデン政権が賛同する特許保護の一時免除は、全会一致を原則とする世界貿易機関(WTO)での議論となる。EU諸国は統一した対応をとるのが通例で、米国の意に沿って、すぐ実現、適用される可能性は小さくなったとみられる。

 EUはかねて、ワクチンを囲い込んでいるとの批判を受けてきた。これに対しては、域内で生産された4億回分の半分は輸出などに回っていると強調し、米国に対しても輸出を進めるよう促している。

 特許のあり方をめぐって米国案に賛意を示していたフランスのマクロン大統領も8日、「時間軸を考えると、まずは生産能力の拡大だ」と指摘した。(ブリュッセル=青田秀樹)

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