呉港、25年ぶり準V 古豪復活に挑む「おじいちゃん」

辻健治
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 高校野球の春季広島県大会は9日に決勝があり、今春の選抜大会に出場した広島新庄が7―2で呉港(ごこう)を破って3年ぶり3度目の優勝を決めた。呉港は25年ぶりに決勝へ進出したが、1967年以来54年ぶりの優勝はならなかった。

 呉港は四回に1点を奪って同点としたが、六回に2点を勝ち越されると八回は連打を許して4失点した。ただ、片岡新之介監督(73)は「試合の流れをつかめなかったが、個々の力が上がってきて、ようやく野球ができるようになってきた」と手応えを口にした。

 片岡監督は岡山・倉敷工出身で、捕手として西鉄(現西武)などプロ3球団でプレー。引退後は広島でバッテリーコーチを務めたほか、社会人野球などでも指導した。豊富な経験を買われ、2019年冬に呉港の監督に就任した。

 戦前からの歴史を持つ呉港は、春夏通じて全国大会に11回出場している。1934年夏の第20回全国中等学校優勝野球大会では優勝。当時の投手は、後にプロ野球阪神で「ミスタータイガース」と呼ばれた故・藤村富美男氏だった。しかし、戦後の甲子園出場は63年春の選抜大会しかない。

 古豪復活を託され、「練習では『激しいおじいちゃん』になっている」と片岡監督。自身の孫も高校生で「どうやって生徒と接したらいいのか孫に教わっている」と笑う。

 選手の自主性を尊重する指導を心がけているといい、主将の河野海七太(3年)は「年齢は離れているけど、わかりやすく指導してくれる。チームは集中力や執念がついてきたと思う」と話す。

 今大会は右下手投げのエース尾崎元(げん)(3年)が一人でマウンドに立ち続け、接戦を勝ち上がってきた。尾道との準決勝で尾崎は完封し、四半世紀ぶりの決勝に導いた。兵庫県から進学した尾崎は「伝統があるとは聞いていたけど、藤村さんのことも進学が決まってから調べて知った。自分たちが歴史を塗り替える戦いをしたい」。

 夏の全国選手権出場は1937年の第23回大会が最後だ。昨夏の独自大会は準々決勝で敗退。県内には広島新庄を始め、広島商や広陵など越えなければならない有力校の壁がある。

 頂点には届かなかったものの、この春の準優勝でチームは大きな自信を得た。片岡監督は「ビッグネームに勝つことも夢から目標になりつつある。夏は勝たせてやりたいね」と力を込めた。(辻健治)