恐れと謝罪と癒着と 市役所と自治会長のいびつな関係

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岡田真実、松山紫乃 佐々木洋輔
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 津市から補助金をだまし取ったとして、詐欺の罪に問われた同市相生町の元自治会長、田辺哲司被告(61)の公判が11日、津地裁で始まる。事件の背景に、田辺被告が長年にわたり市職員らを「恫喝(どうかつ)」して謝罪させるなどの「行政対象暴力」があったとして、市側は調査を進める。なぜ市はそんな関係を断ち切れなかったのか。

 津市職員の男性によると、2018年の年明け、自治会長だった田辺被告に土下座させられたという。

 「三が日にあいさつせんで、すみませんでした」

 男性によると、「正月のあいさつがなかったと会長が怒っている。謝りに行かなあかん」と同僚に言われ、一度は拒んだものの、「こらえてくれ」と押し切られた。自宅で髪を丸刈りにし、幹部を含む市職員が4~5人いる前で、頭を床につけた。

 「『いつもみたいな謝罪』を同僚から要求され、謝らないと、上司や同僚もあれこれ言われる。めんどくさいでしょう」とこの男性は言う。

 自治会長は、地域住民の代表として市に要望を伝え、地域行事や防災の取り組みも任される。田辺被告は、13年に相生町の自治会長になった。ある住民は「街灯をLEDに換え、ごみ箱を新設してくれるなど、助かる存在だった」と振り返る。

 複数の市幹部らによると、市への影響力が強まったきっかけは14年のできごとだ。田辺被告が、市に過剰な要求を行う別地域の市民に謝罪を求め、役所内で土下座させた。職員らは「クレーマー」を抑えてくれた恩と、「自分も土下座させられるかも」という恐怖を感じたという。

田辺被告は逮捕前の取材に「一般論として、謝る人には謝る理由があったんじゃないの」と話していました。記事の後半では田辺被告が取材に答えた内容のほか、津市の調査チームの中間報告の内容などを紹介します。

 「すれ違ったのにあいさつが…

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