カーラジオの情報にピン!介護スキル生かし不明者を保護

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近藤咲子
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 たまたまつけていたカーラジオから、行方不明者の情報が流れた。その特徴と一致する人が目の前に……。気づいた男性には、介護の専門知識があった。偶然が重なり、60代の女性が無事に保護された。

 宮城県名取市介護福祉士、佐伯貴博さん(46)は3月19日午後6時ごろ、市内での買い物を終えて車で自宅に戻っていた。その途中で、歩道を歩いている年配の女性を見かけた。

 荷物を持っておらず、買い物帰りではなさそう。ジョギングやウォーキングにしては疲れた様子で、歩き方もふらついていた。立ち止まらず、前を向いて一心不乱に歩く姿に「何かおかしいな」と感じたが、そのまま通り過ぎた。そのとき、直前に耳にした情報が、ふとよみがえった。

 車内で流していたラジオの番組で、仙台市太白区の60代女性の行方不明情報を伝えていた。特徴は「長い髪の毛、白い上着、紺色のズボン、白い靴」。先ほどの女性と一致していた。

 「仙台の人が名取にいるなんて」と半信半疑だったが、Uターンをして、来た道を戻った。女性は山に続く一本道をまっすぐ歩いていた。追い越して道路沿いの駐車場で車から降りると、女性のもとへ急いで引き返した。

 警戒されないように笑顔で近づき、「こんにちは。暗くなってきましたね」と声をかけた。すると、女性は疲れた表情で「仙台の方に帰る」と答えた。

 女性が向かっていたのは反対側の岩沼市の方向。周囲は薄暗く、人気もない。「とりあえず乗りませんか」と呼びかけると、女性は「助かります」と応じ、後部座席に乗り込んだ。

 女性は自宅の住所も電話番号も覚えていなかった。電話番号を思い出してもらおうと、運転しながら仙台市の市外局番である「022」と言い、続きを促した。これを何度か繰り返すと、番号が出てきた。その番号に連絡を取ると、女性の家族につながった。

 佐伯さんは、岩沼市内のグループホームで働いている。笑顔でゆっくり話しかけることや、繰り返し尋ねて記憶を呼び覚ますことは、普段から様々な高齢者と接することで磨いた対話術だった。過去にも3回ほど道に迷った高齢者を見つけ、警察や家族に引き渡した経験があるという。

 仙台南署は4月9日、佐伯さんに感謝状を贈った。贈呈式で、佐近正浩署長は「ラジオの情報を的確に把握し、介護のスキルも発揮して発見した。事件、事故への遭遇が危惧されていたので、大変感謝している」とたたえた。佐伯さんは「助けないと、と思った。その日のうちに家に届けられてよかった」と語った。

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 佐伯さんが聞いていたラジオ番組で流れた情報は、宮城県警が運用する「SOSネットワークシステム」に基づいている。

 行方不明の高齢者や迷子の届…

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