荷台が高座に「落語カー」発進 スピーカーは選挙仕様

吉田啓
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 【福岡】トラックの荷台を高座に改装して寄席の出前に走り回る「落語カー」を、北九州市が拠点の落語家、橘家文太さん(34)が完成させ、5日にお披露目した。移動販売車などの製作を手がけるヒートウェーブ社(福岡県遠賀町)が全面協力した。文太さんは、道の駅や学校、高齢者施設など九州各地に「生の落語」を届けたいと意気込んでいる。

 「皆さんのお力でこの車が完成した。ここからは私が頑張るところ」。文太さんは5日午後、北九州八幡東区の高見神社で開いたお披露目会で、集まった数十人のファンらに話した。

 落語カーは、奥行き約4メートル、高さと幅が約2メートルの荷台を持つ1トントラックを改装した。高座の壁はうぐいす色、天井は植物を編み込んだ網代天井、床は畳をそれぞれ模した壁紙やビニール素材を張り「和」の雰囲気を演出した。

 ふすまで隔てた楽屋には2人掛けの椅子や折りたたみ式のテーブル、エアコン、冷蔵庫、音響機器が備えられ、換気扇や小窓とドアの網戸で空気の入れ替えをするようにしている。風が強い日でも客席にきちんと声が届くようにと、遠くまで音声を飛ばせる選挙用のスピーカーを使う。

 改装を手がけたヒートウェーブ社の社長、七田弘輝さん(52)は思い付く限りの工夫を盛り込んだ。「『もっと良い車を』と追い続けるビルダー(製作者)にとって完成度に100点はないけれど、80点は与えられる」と胸を張る。

 お披露目会は、神社の境内で、階段を客席にして行われた。出演を頼んでいた兄弟子の文吾さん(29)に加えて、知らせていなかった師匠の文蔵さん(59)も駆け付けた。「皆さん、だまされないでくださいね。いざとなったらこの車で逃げちゃおうと思ってんですから。そういう野郎ですから」。こわもてでならす文蔵さんは、ドスの利いたしゃれで客席を沸かし、弟子の晴れの日を祝った。

 トリを務めた文太さんは師匠の思わぬ登場に胸いっぱいの様子で「もう私、これから落語をやる気になれない」。それでも、同じ北九州市出身の真打ち、林家きく麿さんに稽古をつけてもらった「陳宝軒」を滑稽味たっぷりに披露して拍手を浴びた。

 「最高の第一歩、良いスタートを切れました」と文太さん。まずは落語カーのことを知ってもらおうと、県内を中心に営業活動をする。製作費用約600万円への支援をクラウドファンディングhttps://camp-fire.jp/projects/view/394566別ウインドウで開きます)で募っている。

 お披露目会の様子はYouTube(https://www.youtube.com/watch?v=KbGWEUfKQ5c別ウインドウで開きます)で見ることが出来る。(吉田啓)