戻ってきた大関・照ノ富士 停滞の大関陣にふくらむ期待

波戸健一
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 (9日、大相撲夏場所初日)

 無観客で迎えた初日。国技館に21場所ぶりの場内アナウンスが響く。「大関 照ノ富士」。一時は序二段まで落ちた29歳が、看板力士の地位に戻ってきた。

 立ち合い、明生に両差しを許した。懐に入られるとやっかいな相手。それでも照ノ富士は動じない。相手の両腕を抱えて前に出る。もがく明生をがっちりつかまえ、力でねじ伏せた。

 実に1335日ぶりに味わう大関での勝ち名乗り。「特に深い思いはなかった」と本人は素っ気なかったが、その後に土俵に上がった正代、貴景勝朝乃山は刺激を受けたようだ。

 3大関だった先場所、全員そろっての白星は2度しかなかった。朝乃山と貴景勝は10勝で優勝争いに絡めず、正代は負け越してカド番に。この日、結びを締めた朝乃山は「目の前で大関陣が勝つと、自分も勝たなきゃいけないという気持ちがある」と奮い立った。

 大関の影が薄い場所が続く。昨年11月場所で優勝した貴景勝は、22場所ぶりの大関の優勝だった。横綱不在が常態化し、事実上の番付最上位の大関にかかる責任は重い。伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「白鵬がどうこうよりも、大関が早く横綱に上がれるように頑張ってもらいたい」ともどかしさを口にする。

 綱とりに向けて抜け出すのは誰か。「みんなが挑む場所。4人で盛り上げていければいい」と照ノ富士は言う。その言葉通りに大関が番付の重みを示した初日。期待はふくらむ。(波戸健一)