奄美取材も楽じゃない 手にした10秒1万円のお宝映像

有料会員記事奄美・沖縄

外尾誠
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 ユネスコ国連教育科学文化機関)の諮問機関が、「奄美大島徳之島、沖縄島北部及び西表(いりおもて)島」の世界自然遺産への「登録」を勧告した。4島の中でも自然が最も多様とされるのが奄美大島鹿児島県)。独特の生き物たちを取材することも多いが、自然相手なので思い通りにはいかないことも。記者が体験を紹介します。

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 長袖のシャツにズボン、雨具、手袋、虫よけ――。奄美大島へ赴任する前、福岡市のアウトドアショップで一通りのものを買いそろえた。さて、足元はどうしよう。「奄美に行ったことあります!」という店員に勧められ、登山靴を選んだ。

 ところが着任後、森の案内役となってくれた自然写真家常田(つねだ)守さん(67)は長靴姿。ひざ下まで皮膚を隠せるので、毒蛇のハブに襲われた時の備えになるという。ショップでのやりとりを話すと、「別の島と勘違いしたんじゃない。渓流にも入るし、ぬかるみも多いから長靴がいいよ」。結局、その登山靴を奄美で履いたのは最初の1回だけだった。

 島の環境省職員はそろいの長靴をはいている。その名も「マイティブーツ」。丈夫な特殊樹脂製で、林業関係者の愛用品だとか。「ハブの牙もほとんど通さないらしいよ。マイティ(英語で強力の意味)って言うぐらいだし」とある職員。「ほとんど」が少し気になったが、森林組合を訪れると確かに売っていた。2万数千円也。高いが、背に腹は代えられない。思い切って手に入れ、島の記者仲間に自慢すると、「ハブは樹上にもいるから、上半身をかまれないようにね」とかえされた。

写真・図版
奄美大島の湯湾岳(中央)周辺。左は宇検村=2018年4月、鹿児島・奄美大島、朝日新聞社機から、堀英治撮影

 ハブの毒の吸い出し器も必需品と聞き、これも購入。もっと大事なのが「用心棒」だという。ハブを追い払ったり、やぶにひそんでいないかを探ったりするのに使う長い棒を、島ではそう呼ぶ。カメラの固定に使う一脚を使うことにしたが、1年目で3本壊した。ハブが怖すぎて、森を歩く時にやぶや地面をたたきまくったためだ。

 何を持っていくかで悩み続けたのが、撮影機材。小さな花や虫にはマクロ、森や星空を広く写すには超広角、野鳥を追うには望遠、とりあえず何でも撮れるズーム、といった具合にレンズが増えた。渓流の生き物には防水カメラ、新聞社もウェブサイト用に動画に力を入れ始めたので、ビデオカメラもいる。狙う被写体を絞れば機材は減るが、奄美の特徴である「多様性」がそれを許さない。森に入ると、絵になる生き物や風景に次々と出合ってしまう。楽しくも悩ましい「奄美沼」にはまる感じだ。

後半では「日本一美しい」とされるアマミイシカワガエルが鳴く動画を紹介。なんと10秒で1万円。失敗を続けながら撮影に成功した生き物の写真も合わせてどうぞ。

 決めかねるうちに出発の朝が…

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