大阪 「金剛ざくら」を次世代に 来春の里帰りを待つ

井上正一郎
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 大阪府千早赤阪村奈良県御所(ごせ)市にまたがる金剛山の山頂で根を下ろす「金剛ざくら」。花見を目当てに訪れる登山客もいる中、今年も満開の花を咲かせた。ただ衰弱が激しいため、管理する近くの葛木神社と千早赤阪村などが次世代へ残そうと、取り組みを進めている。

 金剛ざくらは、樹高約8・1メートル、直径約55・5センチで樹齢は100年を超えるという。「子どものころはもっと大きかったが、枝が折れるなどして徐々に小さくなってきた」と葛木神社の葛城裕(ひろし)宮司(63)は話す。

 金剛山の山頂は、御所市だが、多くの登山客が千早赤阪村側の登山道を利用するため、同村と葛木神社の関わりが強い。2年前に葛城宮司が「金剛ざくらを後世に残したい」と相談したところ、ちょうど林野庁から出向していた同村の職員から「林木遺伝子銀行110番」を紹介してもらったという。

 林木遺伝子銀行110番とは、天然記念物や各地の名木などの樹木を対象に、後継樹を無料で増殖する事業で、関西エリアは、国立研究開発法人森林研究・整備機構の森林総合研究所林木育種センター関西育種場(岡山県勝央町)が管轄。これまでに、京都市清水寺の紅梅や京都御苑にある近衛邸跡の糸桜なども同事業を利用している。

 千早赤阪村から相談を受け、昨年1月に現地を訪れた、同センターの遺伝資源管理課の坂本庄生(しょうき)課長は、「こけが生え、枝もほとんど伸びておらず、衰弱している状態だった。地域に親しまれているとも聞いたため、早く増殖した方がいいと判断した」と話す。

 今年1月に、つぎ木増殖用の枝を採取し、現在は関西育種場で苗木を育成中。順調に育てば、来年春ごろには里帰りする予定だという。

 葛城宮司は、満開の「金剛ざくら」を見上げながら「コロナも収まったら、里帰りを盛大にお祝いしたい」と期待に胸を膨らませている。(井上正一郎)