ガザ空爆26人死亡 7年ぶりのエルサレム攻撃、なぜ

有料記事

エルサレム=清宮涼 ニューヨーク=藤原学思
[PR]

 イスラエル軍は11日、パレスチナ自治区ガザ地区の軍事拠点など130カ所を空爆したと発表した。ガザの保健省によると、子ども9人を含む26人が死亡し、122人が負傷。イスラエル軍はガザからロケット弾が発射されたことへの報復だとしており、緊張が高まっている。

 イスラエル軍によると10日以降、ガザ地区からイスラエル側へ発射されたロケット弾は約300発。うち7発はエルサレムを狙い、イスラエル軍が迎撃したが、一部がエルサレム郊外に着弾した。エルサレムに向けてロケット弾が発射されたのはガザ紛争が起きた2014年以来。イスラエルメディアによると、南部アシュケロンにも着弾し、2人が死亡した。

 イスラエルのネタニヤフ首相は10日、「レッドラインを越えた。我々を攻撃する者は重い代償を支払う」と批判した。

 ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」は10日、ロケット弾の発射は「聖地(エルサレム)に対する攻撃への報復」だとしている。

エルサレム

ユダヤ教、イスラム教、キリスト教にとっての聖地。国連は1947年、パレスチナにユダヤ国家とアラブ国家を樹立する「パレスチナ分割決議」を採択。エルサレムは国際管理下に置かれた。49年に第1次中東戦争が終わると、休戦ラインを挟んで西エルサレムをイスラエル、旧市街を含む東エルサレムをヨルダンが獲得した。イスラエルは67年の第3次中東戦争で東エルサレムを占領し、一方的に併合。東西全てのエルサレムを「首都」と主張するが、日本を含め多くの国は認めていない。国連安保理は、占領地への入植を国際法違反と決議で指摘している。一方、パレスチナ自治政府は東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置づけている。

 イスラエルが占領している東エルサレムでは、イスラム教徒の断食月(ラマダン)が始まった4月中旬以降、イスラエル当局とパレスチナ人の間で衝突が続いている。イスラエルが東エルサレムのシェイクジャラ地区でパレスチナ人に退去を求めている問題もあり、イスラム教の聖地「アルアクサ・モスク」では10日も大規模な衝突で300人以上がけがをした。10日はイスラエルにとって、1967年の第3次中東戦争でヨルダン領だった東エルサレムを占領したことを記念する「エルサレムの日」でもあり、緊張の高まりが懸念されていた。

 今月15日には、パレスチナ人がイスラエル建国で故郷を追われた「ナクバ(大破局)の日」を迎えることもあり、パレスチナ側による抗議活動がさらに激しさを増すとの懸念が高まる。

 国際社会からは状況を憂慮す…

この記事は有料記事です。残り1026文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません