人口は減ってはいけない? 原真人の多事奏論

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編集委員
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 コロナ禍のもとで日本でも世界でも出生数が急減している。おまけに結婚カップルまで減っていると聞けば日本の未来が心配になる。人口動態統計速報によると、2月までの1年間の国内婚姻数は51万件。直前の1年間に比べ2割減ったことになる。

 外出自粛、ソーシャルディスタンスの推奨で人と人とが親交を深める機会は著しく減った。恋愛や結婚のチャンスも当然少なくなる。これではますます人口減に拍車がかからないか。国立社会保障・人口問題研究所の林玲子副所長にそう尋ねると「長期的影響はまだわかりません」という。

 かつてスペイン風邪やアジア風邪の大流行後にプチ・ベビーブームがあった。今回も同様のケースはありうる。一方でそうならない可能性もある。非正規雇用で生活が不安定な人たちが、経済的事情から結婚や出産をあきらめるかもしれないからだ。

 「産みたいのに産めない社会にしないことが大切。そのための政策的サポートが必要です」と林氏は言う。その通りだ。産むことを選択できる基本的人権が脅かされるような社会であっては絶対にいけない。

 そこで、はたと考える。政府や経済界は人口対策で何をめざしているのか。基本的人権を守るためか。そうは思えない。

 外国人労働者の受け入れ拡大を求める経済界が望むのは「安い労働力」であって、社会保障負担が伴う「国民」の増加では必ずしもない。政府の目的は国力増強であり経済成長を底上げすることだ。高い成長率は財政悪化や年金財源などの難題を解決してくれるし、経済大国であり続ければ国際的な影響力も維持しやすい。

 政権や経済界がそんな動機から人口大国を望むのは自然なことかもしれない。だとすれば、逆になぜもっと早く人口減の歯止めに手を打たなかったのだろうか。

 戦前、社人研の前身組織は「…

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