社員9割リモートに弊害 出社したくなる個性的な会議室

新型コロナウイルス

織井優佳
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 リモートワークやオンライン会議が当たり前になり、オフィス縮小の動きもある今、神奈川県鎌倉市のIT企業カヤックは、逆に「出社したくなる」職場作りに力を入れている。4月に誕生した「浮か部室」は、天井から紙の囲いをつるした畳敷き。長机が並ぶオフィスで、密を避けつつ空間を切り取った。会議に集中できる、休憩でくつろげる、と評判は上々だ。

 同社の社員は約300人。長机にずらっと端末を並べたオフィスで、企画担当とエンジニアが隣り合い、雑談から生まれる発想を大切に育てることで成長してきた。

 しかしコロナ禍で社員の9割がリモートワークを選び、打ち合わせもオンラインになった。去年の新卒採用者12人の研修もリモート開催。170席あったオフィス1階は、感染対策で約50席になった。

 出社人数が少なくても問題ないはずだったが、企画部プロデューサーの松田壮さん(40)は「顔を合わせないと仲良くなれない」と気づいた。「取引先とのやりとりはオンラインでも大差ない。でも社内ミーティングは難しい。対面でくだらない話も混じるから、いろいろ共有できていた」。上司や先輩とメールやチャットのやりとりばかりだった新人2人が辞めたことも響いた。

 現在は「週3回出社」を推奨する同社だが、続く感染拡大で出社率は3割程度のまま。活発な談義文化を取り戻すため、「出社する意味ある?」という意識を変えたい。学校が勉強だけの場ではなかったように、オフィスでするのは仕事だけじゃない……。来る価値のあるオフィスとは何か、と松田さんらは昨年9月からチームで策を練った。

 12月には屋外の「焚(た)き火会議室」を作った。燃える火を眺めつつの懇談は、オンラインにない深みがあった。ロッジ建設の提案は資金面で却下されたが、「圧迫感も閉鎖感もない紙の小部屋」という雑談から、建築資材の軽い特殊紙とアルミフレームの「浮か部室」が生まれた。気軽なおしゃべりでアイデアが浮かぶ場に、との思いを込めた。

 6畳と4畳の大小二つで費用は90万円。紙は接着剤で貼り合わせ、樹脂製の接合部材は3Dプリンターで自作した。大きい方でも重さは20キロ。天井からひもでつったのを上下に動かせば「囲まれ感」が調整できる。社長が置いたお菓子をつまみ、寝転ぶ社員も。

 今春入社の新人6人の研修は顔を合わせて行い、先輩社員がランチに誘うなどこまめに声をかけている。「人が集えば楽しい。対面の価値を再認識しています」(織井優佳)

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