小谷実可子氏、ジェンダー平等「意識変わった」 組織委

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 「多様性と調和」を掲げる東京五輪パラリンピック。だが、大会組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言などで本気度が問われている。問題を受けて組織委に設けられた「ジェンダー平等推進チーム」を率いる小谷実可子スポーツディレクター(SD)は、改革に取り組んでいる。

 「つい1年ほど前まで、いち主婦であり、母であり、元アスリートであった私が、この数カ月の間に意識が変わった。しっかり発信して理解をしていただくことで、私のように変化する人々がいっぱい増えるのではないか」。10日の事例報告会で、大会のスポンサー企業7社のジェンダー平等の取り組みをオンラインで聞いた小谷SDは、こう振り返った。

 「発信すること」の大切さは、2月末に推進チームが設けられた直後、全職員への記述式のアンケートで気付かされた。1週間で1500人以上から寄せられた回答には「オリンピアンの橋本聖子会長や小谷SDにどんどん発信してほしい」との声が目立った。「発信することで組織委に親しみを持ってもらいたい」と語る。

 1988年ソウル五輪のシンクロナイズド・スイミング(現在のアーティスティックスイミング)のソロ、デュエットで銅メダルを獲得。92年の現役引退後は、アジア・オリンピック評議会(OCA)のアスリート委員長などを歴任した。「ノウハウもなく、留学経験があることと五輪メダリストということだけで、放り込まれた」

 就任当時は、会議に行っても周りは男性ばかり。「結婚、妊娠、出産も経験し、子育てと海外出張の両立は難しかった」。16年東京五輪の招致活動(リオデジャネイロに敗れる)にも携わったが、来日した国際オリンピック委員会(IOC)の関係者を案内している時に、ベビーシッターから電話が鳴って、机の下にかがんで電話したこともある。「壮大な招致計画を話している裏側で、育児が悲鳴を上げていた」

 いまは、OCAの会議でも女性の割合が増えた。東京五輪に参加する女性選手の割合は過去最高になり、割合も5割近くなった。「これからは、競技団体などの上層部の意思決定で女性を増やしていくことが大切だ」と語る。

 そのために必要だと考える施策の一つは、日本オリンピック委員会(JOC)や国内の競技団体の理事会などで女性比率を上げることだ。小谷SDは「日本では今まで、女性はチャンスが少なかったから育ってこなかった側面もある。女性が意思決定に加わることで、組織の視野も広がる」と力を込める。

 組織委は3月に女性理事を12人増やし、割合も40%を超えた。一方、「数あわせではないか」との指摘もあり、中身も問われている。小谷SDは「何をするかだけでなく、プロセスも広く、オープンにすることが大事。SNSなどのツールを最大限、使いたい」。組織委は大会終了後に解散し、できることも限られるが「職員が出向元などに戻った時に(ジェンダー平等の)伝道師になってほしい。日本全体、あるいは未来へのレガシーになると思う」と話す。

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