必要量が届かないワクチン 見込み発注したら今度は余る

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川野由起、贄川俊
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 4月から段階的に配布が始まった65歳以上の高齢者向けワクチンをめぐり、埼玉県和光市が約2500人分を余分に確保していたことがわかった。1回目の希望に対する配分量を目安に、2回目の希望を出したところ多めに配布された。同市は余剰分を近隣市に譲ることを決めた。

 ワクチンは1箱(975回分)単位で、おおよそ2週間ごとに国から各市町村に配布される。市町村が出した希望をもとに国が配分の目安を示し、県が調整して最終的な量を決める。県の統計によると、和光市の高齢者は今年1月時点で1万5025人。1人2回接種するため、約3万回分のワクチンが必要になる計算だ。

 和光市が国へ1回目の希望を出したのは、4月上旬。5月上旬までに配布される分として3箱を求めた。ところが、実際に配られることになったのは、1箱だけだった。

 高齢者の感染が多いことなどから優先配布されていた2箱を合わせると、4月中旬の時点で確保できたワクチンは必要量の1割程度だった。市はその時点で、5月8日から集団接種を始める計画で、接種予約の受け付けを始めており、予定通りの接種ができなくなる恐れがあった。

 市によると、1回目の配布結果から、希望分のおよそ3分の1が配分されると想定。2回目の希望は、全体の必要量を大きく上回る41箱にした。すると、4月下旬に明らかになった2回目の配分量は、33箱。想定より多く配布されるだけでなく、この回だけですべての高齢者に2回接種できる量を確保することに。優先配布と1回目の希望分に対する配布を合わせると、結果的に約2500人が2回接種できるワクチンが余ることになった。

 全国の自治体に配られる総配分量が1回目よりも多かったことが理由だが、市担当者は「2回目も少なく配布されると思い、ふかして多く希望してしまった」と話す。配分量を決める際に県から事前の相談はなかったという。

 国は当初、ワクチンの使用は届いてから2カ月以内を想定していると自治体に説明していた。制度上、64歳以下や基礎疾患のある人に前倒しでワクチン接種をすることが認められているが、市担当者は「高齢者への本格的な接種も始まっていないのに、その先の計画はとても立てられない。ワクチンが確保できていないほかの自治体の目もあった」。県に配分量の変更を相談したが、「いったん決まった配送計画を変更することはできない」と断られたという。

 余剰分のワクチンをどうするか。大型連休中も検討したが結論は出なかった。すると、厚生労働省が今月6日に自治体間の融通を認める通知を出した。これを受け、市が近隣の市に持ちかけたところ、複数から申し出があった。最終的に余剰分を譲ることに決めた。

 市担当者は「ワクチンを確保したいという気持ちがあったのは事実。ただ、前もってどのくらいの量が配布できそうか事前にきちんと教えてくれれば良かったのに」と振り返った。(川野由起、贄川俊

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