リレー中学日本一の元ランナー、角界へ しこ名に「走」

鈴木健輔、上山浩也
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 陸上の400メートルリレーで中学時代に日本一を経験したランナーが初土俵を踏んだ。高砂部屋の朝走雷(あさそうらい=本名・吉田雷希(らいき)、22)。100メートルの自己ベストは11秒00で、「激しい相撲を取り、スピードで相手をほんろうする力士になりたい」と語る。

 167センチ、80キロ。小柄な序ノ口力士はここまで0勝2敗だが、押し出しで敗れた2日目のデビュー戦に比べて3日目の取組は「緊張せずに行けました」。この日は低く当たって、自分より大柄の谷口を押す。はたき込みで敗れたが、果敢に前に出た。

 三重県出身。小学4年から陸上を始め、志摩市立文岡中学2年のときに全国中学大会の400メートルリレーで第2走者として優勝に貢献した。当時の夢は、教員になること。中学時代の陸上部顧問に憧れ、将来は体育教師になって陸上を教えようと思っていた。相撲も小学生の頃から地元の道場に通い、中学時代も相撲の大会には参加していた。

 高校時代から陸上に専念し、2年時に11秒00をマーク。だが、大学では満足する結果を出せず、壁にぶつかった。「自分が生徒だったら、実績がある先生に教えてもらいたい。自分がなるのは違うと思って」と教師への夢も絶って2年目に中退した。

 「教員への夢がなくなってどうしようかなと思っていたとき、弟の相撲部の試合を見てもう一度やりたいと思った」

 弟は、一緒に入門した朝気龍(本名・吉田桐龍(きりゅう)、18)。そろって初土俵を迎えた2日目は弟、兄の順で続けて取組があり、弟はそこで初白星を挙げた。そのあと、「惜しかったね」の言葉とともに助言ももらったという。弟にも、負けていられない。

 朝走雷のしこ名は、自分で考えた。「『走』という字を絶対に入れたかったので、すぐに決めました」。学生時代は体重68キロ。大学を辞めた後はバイトをしていて、角界に入るか悩んだが、「働くのは相撲を辞めてからでもできる。大相撲は今しか挑戦できないと思ったのが決め手になりました」。

 教員になろうと思うきっかけとなった中学時代の陸上部の顧問は現在、三重・皇学館高校で陸上部の指導をしている出口大貴先生(42)だ。教え子の角界挑戦をインターネットで見た時は驚いたが、「陸上だけでなく、相撲も並行して頑張っていた。教員になってほしいなと思っていたけれど、色んな経験をすることで人は成長する。相撲の道で頑張ってほしいし、その後でも先生への道はあるので、それも含めて頑張ってほしい」とエールを送った。(鈴木健輔、上山浩也)