国税の「伝家の宝刀」 割れる司法判断 PGM系に適用

中野浩至
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 全国でゴルフ場を経営するパシフィックゴルフマネージメント(PGM)グループが約57億円の申告漏れを指摘されていた。適用された規定は、合法な税務処理でも「税逃れが目的だ」と国税がみなせば課税処分できる「伝家の宝刀」。ただ、具体的な基準が明文化されておらず、企業が処分の是非を裁判所に問うケースは後を絶たない。

 IT大手のグループが約1200億円の法人税を課されたのを不服として争った裁判。グループ内での株取引にこの規定を適用した国税側に対し、「通常の取引と違うとは言えない」とする東京高裁判決が2016年2月に確定した。国税側の「完敗」だった。

 その後、別のIT検索大手が子会社買収をめぐり、約540億円の申告漏れを指摘された処分に対する裁判では、国税側が勝訴。ほかにも、米国の音楽会社の日本法人をめぐる処分は東京高裁で敗訴、自動車部品メーカーへの処分は勝訴が確定、と国税の勝ったり負けたりが続いている。

 ある国税OB税理士は、「租税回避を裏付ける証拠を国税が押さえたかどうかが勝敗の分かれ道だ」と指摘。この規定に明確な基準はないとはいえ、「『税逃れをしたに違いない』という国税の見込みだけで、強大な権力が行使できるわけではないということを判決は意味している」と話す。(中野浩至)