ねじめ正一さん、高円寺純情商店街に新作 父子描く短編

井上恵一朗
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 作家・ねじめ正一さんが書き下ろした新作短編小説「梅雨の子」が、高円寺純情商店街(東京都杉並区)のホームページ(HP)で公開されている。小説の舞台は、直木賞受賞作と同じ「高円寺純情商店街」。乾物屋を営む父と子の関係を、ユーモラスな筆致で描いている。

 主人公である9歳の正一は、親子3人、6畳一間で暮らしている。昭和32(1957)年、梅雨どきのある日、父が左足の薬指をかいてくれと頼んでくる。この「父の変な薬指」をめぐる少年の思い出は、商店街と結びついている――。

 商店街とねじめさんの縁は深い。正式名称は「高円寺銀座商店街」だったが、ねじめさんが生まれ育った商店街をモデルにした小説「高円寺純情商店街」が1989年の直木賞作に。商店街の愛称として使い始め、広く知られるようになった。

 商店街の吉田善博専務理事は「平成の始まりから高円寺純情商店街となり、元号も令和に変わった。新たな短編を書いてほしいとお願いしていた」。短編の時代設定当時の地図も作り、この春の刊行に合わせて商店街を歩いてもらうイベントを企画したが、コロナ禍で実現できなかった。

 代わりにHPでそうした街の移り変わりを紹介。ねじめさんと吉田専務の対談や、街歩きの動画を載せている。短編公開は6月までの予定で、吉田専務は「この作品を広めて、いずれ、小説の世界を思い浮かべて商店街を歩いてもらえるようにしたい」と話す。(井上恵一朗)