日産「3年連続赤字」のワケ 販売の質、競合に及ばず

神沢和敬、神山純一
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 日産自動車の純損益が、3年連続の赤字になる見通しだ。2022年3月期も600億円の純損失を出すとの業績予想を11日発表した。カルロス・ゴーン元会長の拡大路線の下で傷ついたブランド力は、回復しきっていない。半導体の不足に伴う減産も響く。

 21年3月期決算は売上高が前年比20・4%減の7兆8625億円、営業損益は1506億円の赤字(前年は404億円の赤字)、純損益は4486億円の赤字(前年は6712億円の赤字)だった。

 18年末に解任されたゴーン元会長の時代に新工場を各地に建てるなどして生産を拡大。一方、新型車の開発費を抑えた結果、発売から年月がたった「古い車」ばかりになり、値引きせざるを得なくなってブランド力が低下。そんな悪循環から、まだ抜け出せない。

 内田誠社長はこの日の記者会見で「過度な台数を求めずに、販売の質向上をはかることは着実にできている」と発言したが、内実はライバルに及ばない。

 主力の米国市場で販売店の値引き原資となる1台あたりの販売奨励金は、足元も高水準だ。関係者によると、トヨタやホンダの2倍ほどで推移している。

 生産能力の削減に伴う特別損失も影響した。インドネシアなどにあった2工場の閉鎖や勤務体制の見直しに伴う。

 一方、22年3月期の売上高は15・7%増の9兆1千億円を見込む。世界販売台数は9%増の440万台を計画する。スポーツ用多目的車(SUV)のEVアリアを今夏に売り出すなど、新型車を投入する効果が出るとみる。コロナ禍からの回復が早い中国での販売増も貢献する。

 しかし、営業利益の見込みはゼロ。一因は、半導体の世界的な不足だ。不足に伴う日産の減産は、22年3月期は25万台を見込む。その影響台数は前年の4倍近い。

 半導体大手ルネサスエレクトロニクス茨城県ひたちなか市に構える那珂工場で、3月に火災が発生。そのラインは生産を再開したものの、出荷量は戻りきっていない。

 こうした状況も背景に日産は、将来に向けた新型車の開発費を積み増すわりには、生産も販売も十分には回復しない見通しだ。

 中期経営計画に盛り込んでいる22年3月期の売上高営業利益率の目標は2%だが、達成は難しい。24年3月期に掲げる5%への道のりは険しさを増した。(神沢和敬、神山純一)