おからドーナツは地元の大豆で 生み出した豆腐店3代目

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松浦新
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凄腕しごとにん

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おからドーナツ用のおからをながめる。豆腐用のおからよりきつく搾り、小麦粉などを混ぜたうえで、搾った豆乳を戻す=埼玉県小川町、篠田英美撮影

三代目清水屋 店長 清水洋治さん(61)

 豆腐店として生き残るために売り出したおからドーナツが、全体の売上高の7割を占めるまでに成長した。ドーナツ用のおからを作るため、街の豆腐店としては多い月1.5トンの大豆を使う。

 東京・新橋の広告会社で働いていた38歳の春、「消費ばかりで残らない都会の生活に疲れた」と、埼玉県小川町にある実家の豆腐店を継ぐことにした。

 1998年。「木綿豆腐を作っていればいい」と思って始めた。ところが、15店あった卸し先の八百屋や生鮮食品店が次々に店をたたんでいく。農協の野菜直売場に卸したり、町内で月に1、2回あるイベントに出店したりしても右肩下がりだった。

 小川町の青山地区に伝わり、無農薬栽培されている「青山在来大豆」で絹ごし豆腐を作ったほか、ゴマ豆腐、ゆず豆腐などの商品を並べるが売り上げは上向かない。

中華鍋を持ち込んで

 そんなある日、イベントでは唐揚げやだんごのような食べ歩きできるものが売れていることに気づいた。そこで思いついたのが、おからのクッキーやドーナツだった。ドーナツは中華鍋を持ち込んで揚げると、思うように膨らまなかったり、でこぼこになったりしても、揚げたてのおいしさで行列ができるほどになった。

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三代目清水屋の経営を救ったおからドーナツ。プレーンだけでは飽きられたが、チョコレートのトッピングをすることで客足を取り戻した=篠田英美撮影

 これに満足しない。試行錯誤を繰り返し、ドーナツ用のおからにたどり着く。国産大豆に、黄緑色で甘みがある青山在来を加え、自然な甘みを生かした。安定するまでに3年ほどかかった。店には置かなかったが、イベントで買ってくれた客が店にも来るようになり、小川町駅前にドーナツ中心の店を出すことにした。

 2009年3月にオープンし…

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