池の水抜くのは何のため? かいぼりで復活「モネの池」

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小坪遊
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 絶滅したと思われていた水生植物が、数十年ぶりに見つかる――。池の水を抜いて環境を整備する「かいぼり」によって、泥の中で眠っていた種子が目覚める例が相次いでいる。環境悪化で姿を消した水辺の植物が、川の氾濫(はんらん)を人工的に再現したことで復活したらしい。ただ、種も、泥の中でいつまででも生きていられるわけではなく、残された時間は少なくなっている。

 東京都三鷹市武蔵野市にまたがる都立井の頭公園。井の頭池はかつて、水質汚染が問題になった時期もあったが、2013年度からかいぼりを続けたところ、都のレッドリストで絶滅危惧種とされていた水生植物のツツイトモが復活。59年ぶりにイノカシラフラスコモも発見された。池の水は透き通って光が差し込むようになり、美しい緑が群生する姿は画家クロード・モネの絵のようだと話題になった。

 八王子市の長池公園も19年秋から、開園以来初めて池のかいぼりをした。環境再生活動に取り組むNPO法人「生態工房」や近くのヤマザキ動物看護大学、地域の人などが協力。一度も抜いたことがなかった水をすべて抜いた。ブラックバスアメリカザリガニなど外来種を駆除し、5カ月ほど池干しをする間に周りの樹木にも手を入れ、池に明るい日が差すようにした。

 すると、20年6月、園の自然館に持ち帰った泥から、都内では絶滅したとされていたジュンサイが生えているのが60年ぶりに見つかった。池の底にたまっていた泥を、日当たりのよい浅瀬にかき出したところには、都の絶滅種ミズユキノシタや絶滅危惧種ヒルムシロなども次々に芽吹いた。南多摩地域では初めての記録となるヒメミクリも確認された。

 今年4月に改訂された都のレッドリストは、こうした水生植物たちのカテゴリーを見直した。内野秀重園長は「何か出て来たらいいねと話してはいたが、まさかここまで成果があるとは」と驚いた。パークレンジャーの片山敦さんは「在来の魚や昆虫も生き残っていて、池のポテンシャル(潜在能力)を感じた」と喜ぶ。

 かいぼりをすると、なぜ水生植物が復活するのか。

記事の後半では、人工的なため池や、そこで行われるかいぼりが果たしている意外な役割や課題について紹介してきます。

 川はもともと、降雨の多い時…

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