ALS嘱託殺人事件とは 容疑の2医師20年前に出会う

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 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に対する嘱託殺人罪で医師2人が起訴された事件は、京都府警の捜査で、医師の父親に対する新たな殺人容疑が浮かび上がった。一連の捜査の端緒となった嘱託殺人事件とは、どのような事件だったのか。

 京都府警は昨年7月、ALSの女性患者に頼まれ、薬物による殺害を請け負ったとして、大久保愉一容疑者(43)=仙台市=と山本直樹容疑者(43)=東京都=の医師2人を嘱託殺人容疑で逮捕した。2人は翌8月、同罪で起訴された。2人は女性の主治医でなく、「安楽死」を望んだ女性患者とSNSを通じて知り合ったとみられている。

 起訴状などによると、2人は19年11月30日、女性患者が暮らす京都市中京区マンションを訪問。付き添いのヘルパーに知人を装って偽名を告げ、ヘルパーが別室に外した際、チューブで栄養を胃に直接送る「胃ろう」から薬物を注入したとされる。2人が立ち去った後、女性は呼吸停止状態に陥り、搬送先の病院で死亡した。

 司法解剖の結果、胃から鎮静作用がある「バルビツール酸系」の薬物の成分が検出され、府警は死因について急性薬物中毒と判断した。

 捜査関係者によると、大久保容疑者は事件の約1年前、ツイッター上で女性患者と知り合い、「安楽死」をめぐるやり取りを重ねていたとみられる。女性は死亡の約1週間前、計130万円を山本容疑者名義の口座に振り込んでいた。

 2人はこの事件に先立つ19年9月、海外での「安楽死」を望む別の20代女性の難病患者の病歴や病状などを記した英文の診断書を偽造していたとして、昨年9月に有印公文書偽造容疑で再逮捕され、その後、起訴された。

 医師2人は大学在学中、各地の医学生が集う勉強会で知り合い、20年来の付き合いがあったとみられている。

 大久保容疑者は厚生労働省の技官を務めた後、東北地方の病院などで勤務し、宮城県名取市呼吸器内科・メンタルクリニックを開業していた。

 一方、山本容疑者は都内の大学医学部を中退したが海外で学んだとされ、その後、日本の医師免許を取得。千葉県の救急医療病院などに勤めた。東京都内で勃起不全(ED)治療の専門クリニックを開いていた。