「責任果たす姿勢を」 広島自民の党本部批判、ねらいは

大久保貴裕、東郷隆
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 自民党広島県連の国会議員は12日、「政治とカネ」をめぐる党本部の対応を批判する申入書を二階俊博幹事長に提出した。買収事件が激しい逆風となった4月の参院再選挙で自民候補が敗北。次期衆院選に向けて改革姿勢をアピールする狙いだが、結実するかは不透明だ。

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 申入書で問題視したのは、「政治とカネ」問題の決着を国会議員の離党で図る党本部の手法だった。「国民の目は厳しさを増している」と指摘し、議員が離党しても「国民の納得・信頼を得るうえで、公認した政党の責任を果たす姿勢を持つべきだ」と訴えた。

 関係者によると、念頭にあるのは二階幹事長の3月の発言だ。2019年の参院広島選挙区の買収事件で当事者となった河井克行被告と妻の案里氏の離党を踏まえ、事件を「他山の石」と表現したことが世論の批判を招いたからだ。

 県連内には、こうした党本部の姿勢が敗北の一因になったとの意見が根強い。中本隆志県連会長代理は4月末、「本当にマイナスだった」と批判していた。

 県連にとっては秋までにある衆院選に向け、信頼回復が急務。岸田文雄政調会長(県連会長)は申し入れ後、「政治とカネ、党の信頼や体質が大きな関心事だと再選挙で強く感じた」と語気を強めた。

 ただ、党本部が広島の声にどこまで真剣に向き合うかは見えない。党本部関係者は「敗北の衝撃を自分で消化しきれないから党本部に責任転嫁しただけ」と冷ややかに語った。

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 一方で再選挙の論戦をきっかけに、「歳費法」改正を求める発言が与野党から相次ぐ。現行法で当選無効時の返還制度がなく、案里氏が受け取った歳費の扱いに注目が集まったためだ。

 自民県連の申入書では「議員の身分に関する憲法上の要請も踏まえ」と前置きをしつつ、「歳費の支払い停止や返還を可能とする必要がある」と指摘した。

 公明党も、石井啓一幹事長が7日、広島市の市民団体が歳費返還訴訟を起こしたことに触れつつ、「立法化を目指す」と表明した。

 自民候補を全面支援した再選挙で公明支持者の不満が噴出し、衆院広島3区に立候補する斉藤鉄夫副代表が党本部側に懸念を伝達していた。斉藤氏は取材に「有権者からみたら納得できる話ではなく、政治不信の要因にもなっている。今国会での法改正を目標に動きたい」と強調した。

 立憲民主党も党幹部が法改正の必要性に言及。県連の福知基弘幹事長は「さかのぼって返還するのは当然だ。違法行為への抑制効果も見込める」と話した。(大久保貴裕、東郷隆)