小中一貫の「義務教育学校」 北海道内でも増える

芳垣文子
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 小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育学校」が全国で増えている。道内では今春、国公立の4校が開校。札幌市では2023年春に開校する学校を皮切りに、26年春までに計3校を作る計画だ。学力向上など効果を上げている学校も出ている。(芳垣文子)

 札幌市教育委員会は3月、市内で3校の義務教育学校を設置する計画を明らかにした。トップバッターとして東区の市立福移小・中学校が、23年4月に義務教育学校としてスタートする。

 同校は市郊外にある市内唯一の小中併置校で、校舎1階が小学校、2階が中学校の教室だ。図書室や音楽室、家庭科室などは共同で使っている。職員室は一つ。校長は1人だが、教頭は小中それぞれいる。

 今年度の児童・生徒数は合わせて123人。入学式や卒業式、運動会や「ステージ発表会」など、小中合同の学校行事も多い。音楽や英語は中学の教員が小学生に教えている。すでに義務教育学校に近い形であることが、一番手となった理由の一つだ。

 このほか市内では、南区の定山渓小学校と定山渓中学校が25年4月に、同区のの真駒内桜山小学校と真駒内中学校が26年4月に、それぞれ義務教育学校となる予定だ。これら2校は校舎を改築して一体化する。

 市教育委員会は20年2月に「札幌市小中一貫した教育基本方針」を策定し、様々な形で小中連携の取り組みを行っている。担当者は「根幹は9年間を通した子どもの学びの連続性。自立した札幌人の育成を目指す。義務教育学校はその一つとしての位置づけだ」と説明する。

 ただし中学分の学習の前倒しなど、小中間の指導内容の入れ替えや移行は行わないとしている。他の小中学校からの転出入があった場合、学習内容の欠落がないようにするための配慮だ。

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 道内の公立では今春、歌志内市歌志内学園、函館市立戸井学園、釧路市立阿寒湖義務教育学校の3校が開校し、全14校になった。国立の北海道教育大付属釧路義務教育学校も4月にスタートした。

 道内で最初の義務教育学校となった一つが、16年4月設立の斜里町の知床ウトロ学校だ。設立から5年が経ち、具体的な成果が表れているという。

 同校では1~4学年、5~7(中1)学年、8・9(中2・3)学年と、9年間を3ブロックに分けている。小学生は通常45分授業だが、同校では5年生からは50分授業だ。6年生には中学生同様の中間・期末テストがある。

 同校の全国学力・学習状況調査の結果では、開校前に比べ正答率が全国平均を大きく上回るなど、学力向上が見られるという。小野寺哲浩校長は「4年生は『高学年の1番下』から『ブロックの1番上』と意識が変わることで成長している」と話す。部活指導を小学校の教員も担うことで負担軽減を図り、教材研究に時間をかけられるなどの効果も出ているという。

 文部科学省によると、全国の義務教育学校は制度が始まった16年度は22校だったが、19年度は94校、20年度は126校と急速に増えている。北海道教育大教授で、同大付属釧路義務教育学校の内山隆校長は「これまでは比較的規模が小さい学校が多かったが、今後は都市部や中規模の小中学校でますます小中一貫教育が進み、義務教育学校となる可能性も出てくる。義務教育としてカリキュラム編成や教員の養成などが課題となるだろう」と話している。

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 〈義務教育学校〉 小中学校の9年間で一貫したカリキュラム編成などの教育活動を行う学校。小学校から中学校に上がる際の環境変化で学習につまずく「中1ギャップ」の解消のほか、少子化が進むなか、集団活動に必要な児童生徒数の確保も背景にある。2016年施行の改正学校教育法で制度化された。教員は小中両方の教員免許を持つことが原則だが、当面はどちらか一方でも構わない。