考える英乃海、戻った観客の前で圧勝 願いは「弟と…」

小俣勇貴
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 (12日、大相撲夏場所4日目)

 拍手を浴びながら、英乃海は勝ち名乗りを受けた。

 「気持ちいいですね」

 4日目にして観客が戻ってきた国技館の雰囲気にだけではない。イメージ通りの相撲の出来も大きい。

 取組前に決めていた。「両差しで走るのみ」。低く鋭い立ち合いから2本差して、栃ノ心を一気に寄り切った。わずか4秒での決着だった。

 日大から角界入りし、初土俵から丸9年。31歳になった英乃海は言う。「以前は『前に出て流れで』と単純な考えでしかなかった。30歳を超えて、もっと相手の考えていることまで深く考えるようになった」

 他の力士を映像で研究し、「どこが弱いのか」と目をこらす。得意な相手には得意な形で、苦手な相手には、出方を推測して嫌がられる取り口を考える。「(読みが)当たったら気持ちいい」。勢い任せの相撲をやめたことで、新入幕から6年、4度目の再入幕だった先場所で10勝を挙げ、初めて勝ち越した。今場所は自身最高位の東前頭6枚目を戦う。

 余裕も生まれている。黒星を喫した初日はあえて策を考えずに臨んだ。「自分の体の調子がどんな状態か知りたかった」からだという。立ち合いに課題を感じ、ぶつかる高さや踏み込み方、手の使い方を修正。そこから3連勝だ。

 番付の4枚上には、3学年下の実弟・翔猿がいる。つかず離れずの仲だが、「お互い三役になれたら、うれしい。番付が並んだら一番うれしい」。この夢も原動力の一つだ。小俣勇貴