宮古島の駐屯地用地、計約8億円 前市長の収賄容疑事件

藤原慎一
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 沖縄県宮古島市への陸上自衛隊の配備をめぐり、駐屯地の用地選定で業者に便宜を図った見返りに現金約650万円を受け取ったとして前宮古島市長の下地敏彦容疑者(75)が収賄容疑で逮捕された事件で、駐屯地の用地取得費は約8億円だったことが防衛省への取材でわかった。

 県警によると、下地容疑者は、陸自配備の受け入れを表明することで、ゴルフ場経営の「千代田カントリークラブ」(宮古島市)の土地を駐屯地用地として国に売却できるようになるなどの便宜を図り、見返りとして同クラブ役員から現金約650万円を受け取った疑いがある。

 防衛省によると、宮古島駐屯地は宿舎を含め約22ヘクタール。すべて同クラブの土地で、2017年10月と18年8月の2回に分けて計約8億円で取得した。敷地全体のうち、防衛省は約21ヘクタールを地権者から購入し、約1ヘクタールを借り受けているという。

 宮古島への自衛隊配備は11年に政府が方針を打ち出し、地元で反発もあるなか、市長だった下地容疑者が16年に受け入れを表明した。17年に着工され、19年に警備部隊約380人を配置して発足。20年に地対艦・地対空ミサイルの部隊が加わって700人体制となった。

 加藤勝信官房長官は13日午前の記者会見で、同クラブの土地が駐屯地の用地に決まった選考過程について、「特段の問題があったとは、承知をしていない」との認識を示した。前市長の逮捕については、「警察による捜査なので、政府としてのコメントは控える」とした。

 宮古島駐屯地の配備に反対してきた「ミサイル・弾薬庫配備反対! 住民の会」の下地博盛共同代表(71)は事件を受け、「一体何のための配備受け入れだったのか」と憤る。

 下地容疑者は市長だった16年、市議会で「国民の安全を確保する観点から了解する」と述べ、受け入れを表明した。だが、有事の際の安全確保などについて市民が質問しても、下地容疑者は「自衛隊が決めること」と言って正面から回答しなかったという。

 下地共同代表は「『国防だ安保だ』と言いながら、結局は金で動いていたのだとしたらあり得ない話だ」と語った。(藤原慎一)