第4回次は社外取締役も公募? 教訓が生んだ「みんな取締役」

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編集委員・堀篭俊材
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連載「多様性と企業」

人の多様性を軸にして、現状を打破して変わろうとする企業の最前線を伝える連載です。4回目では、「みんな取締役」を実施する企業の試みから、人材の多様性について探ります。

 取締役を公募します――。IT企業サイボウズで働く山田翠さん(24)は昨秋、社内のネット上の掲示に目をとめた。

 そこに書いてあった仕事の内容は「取締役会への出席」「総会議案事項の決議」「次期取締役候補の選定」の三つ。条件として「取締役報酬なし」とあった。

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新卒2年目で取締役になったサイボウズの山田翠さん=東京都中央区

 まだ入社2年目だった山田さんは、取締役は権力のある「すごい人」というイメージを抱いていた。「権力のなさそうな取締役って何だろう」と逆に興味をもった。

 取締役会や経営会議にはだれでも参加でき、議事録もすべて公開するオープンな社風に共感を覚えていた。「もっと会社のことを知りたい」と手をあげた。

 3月28日の株主総会で、山田さんは16人の仲間たちとともに取締役に選ばれた。年下の新卒1年目の男性社員や、女性の先輩も4人いる。同じマーケティングのチーム11人からは4人も取締役になった。

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サイボウズの定時株主総会では、会場のスクリーンに新しく選ばれた17人の取締役たちが並んだ=東京都中央区(同社提供)

 異例の役員公募について、発案者の山田理副社長(54)はこう説明する。

 「サイボウズは社員約860人みんなが取締役の役割をはたしています。ガラス張りのところで意思決定し、それを社員全員でチェックする。17人の取締役はあくまで、その代表選手なんです」

 サイボウズは、一部の役員に権限を集めて経営を監督させるピラミッド型ではなく、フラットな組織をめざす。

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取締役を社内公募することを発案したサイボウズ副社長の山田理さん=オンライン画面から

 「みんな取締役」は民主的な試みではあるが、IT業界は変化が激しい。中央集権的な組織の方が動きやすいのでは?

 青野慶久社長(49)にたずねると、「僕はひたすら事業をでかくすることにモチベーションがわかないんです」と返ってきた。

 その言葉には苦い教訓がある。

青野社長が目指す人材の多様性とは?。サイボウズが検討する新たな試みも紹介します。

 サイボウズは、松下電工(現…

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