連載「多様性と企業」
人の多様性を軸にして、現状を打破して変わろうとする企業の最前線を伝える連載です。5回目では、性的少数者に働きやすい職場をつくろうとする企業と日本の現状を紹介します。
同性婚を認めないのは「違憲」――。パナソニックのローレンス・ベイツ取締役(63)は、3月17日の札幌地裁の判決を支援者からの連絡で知った。「性的少数者に対する日本社会の見方を変えるきっかけになるだろう」
在日米商工会議所会頭などを経て、法務担当として3年前にパナソニックに招かれた。ベイツ氏がゲイであることを職場でカミングアウトしたのは17年前、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の日本法人にいたとき。GEの健康保険の制度が変わり、通常の婚姻関係と同じようにパートナーも加入できるようになったのがきっかけだ。
「上司がサポートしてくれたし、周りも理解してくれた。それ以降、より自分らしく仕事に専念できるようになった」
電通が昨年12月に約6万人を対象に行った調査では8・9%がLGBTなどの性的少数者に該当した。ベイツ氏は「想定している以上に私たちの身の回りにいる。企業はそうした人たちの力をひきだす取り組みをしないといけない」と訴える。
性的少数者に働きやすい職場づくりなどに取り組むNPO「グッド・エイジング・エールズ」の松中権(ごん)代表(45)は女性登用が進むいまの流れに期待する。「男性中心の企業文化を変えれば、性的少数者の人たちも認められる社会につながる」
ただ、アプローチの仕方は少し違う、ともいう。「少数者であるために存在が見えにくい。どんな環境におかれているのか、想像力を持ち進めないといけない」
性的少数者が働きやすい職場づくりへの関心は高まっています。しかし、日本はまだ遅れているとの認識が根強く、国際的な企業では「日本に転勤したくない」との声も。ベイツ氏は企業文化を変える必要性を強調します。
組織として支援する動きも出…