世界の天才たちが生むアプリ中毒 悪意ないが倫理もない

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聞き手 編集委員・吉岡桂子
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 SNSのタイムラインを、交わらないままの言葉が流れていく。インターネットによって「世界の人々がつながり合える」という期待はかすみ、人間はそれぞれの「泡」の中に閉じこもったまま、「私」の情報は統治や商売の種と化しているかにみえる。情報技術と人間の関係を研究してきたドミニク・チェンさんに聞いた。これは、情報技術の発達の結果なのですか。

 1981年生まれ。フランス国籍。早稲田大学准教授。著書に「未来をつくる言葉」など。ぬか床ロボット「ヌカボット」など開発も多数。

 ――コロナ禍で人に会う機会が減り、ネットに1人で向きあう時間が増えました。コミュニケーションの研究者として、この1年あまり、なにを感じてきましたか。

 「大学の現場では試行錯誤が続くなか、講義を映像でいつでも見返せるようになるなど、合理的な変化も起きました。オンラインでも、学生たちと一緒に学んだり、現状に対して批評的に考えたりすることはできると感じています」

 「ただ、会って話すときのコミュニケーションの豊かさは、簡単には置き換えられません。人は本筋とは関係ないノイズ、つまり雑音のような情報の海の中を漂いながら、コミュニケーションを成立させるための信号を発したり受け取ったりしています。しぐさ、表情、あいづち……。この研究室の書棚の本の背表紙や置物、窓の外の風景も、理解を深める大事な情報です」

 「それが、オンラインでは顔と声を除く膨大な量の情報がそぎ落とされてしまう。相手が置かれている環境や言葉の裏の感情を読み取ることは難しい。自分の話し方も、つたなくなっていく」

後半では、自分の嗜好にあう情報ばかりが入ってくる「フィルターバブル」現象や、アプリに対する中毒について語ります。

 ――話し方も変わりますか?

 「ぼくには吃音(きつおん)があり、自分がいまどんなふうに話しているか、常に敏感です」

 「軽度のものですが、子供の…

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