「監視国家」より「無管理」が問題 デジタル法の意義は

有料会員記事

聞き手・根岸拓朗
[PR]

 12日に成立したデジタル改革関連法の大きな特徴は、政府と自治体で異なっていた個人情報保護のルールを「統一化」することだ。個人情報に詳しい新潟大の鈴木正朝(まさとも)教授(情報法)に、新たな法律によるメリットと課題を聞いた。

「2千個問題」の解消図る

 公的機関での個人情報流出は、たとえば日本年金機構の125万件分の個人情報流出、神奈川県の使っていたハードディスクが転売された事件などがある。しかし、これまで個人情報保護について行政や自治体が十分な監督を受ける仕組みはなく、組織の長による「セルフチェック」が中心だった。

 このため、今回の法改正で、個人情報保護委員会が公的機関も監督できるようになるのは大きな意義がある。

 民間、行政機関、独立行政法人のほか、およそ2千の自治体ごとに個人情報保護のルールがバラバラである「2千個問題」も、法改正で解消される。たとえば災害時の問題だ。10年前の東日本大震災では、障害者ら支援を必要とする人の情報を支援団体などが求めても、ほとんどの自治体が提供しなかった。豪雨災害による死者や行方不明者の名前の公表基準も、自治体ごとにばらつきがある。住民の命に関わることであり、定義と取り扱いルールは統一すべきだろう。

 また、越境データ問題に対応するためには欧米の法制度との調和も図っていかねばならない。2千自治体ごとに交渉し地方議会がバラバラに改正しながら対応することはもはや不可能であろう。

 昨年は国民への一律10万円の給付で混乱が起きた。低所得の人に30万円を渡すはずだったのに、誰が低所得なのか把握するのに時間がかかることもあって方針が転換された。支援が必要な人ほど声を上げにくいのに、行政は把握できていなかった。今回の法律は「監視国家になる」とも批判されたが、現状では福祉に必要な情報すら保有していない「無管理」のリスクが大きくなっている。

野党の主張通りの点も

 ワクチンの開発で日本企業は…

この記事は有料会員記事です。残り443文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る!】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら