チョウの羽ヒントに明るい窓?阪大チームがデザイン開発

矢田文
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 青く輝くチョウの羽にヒントを得た採光窓のデザインを、大阪大学の研究チームが開発した。日中、照明をつけなくても自然光で部屋を明るくできる窓で、省エネにも役立ちそうだ。「世界一美しい」ともいわれるモルフォチョウの発色の仕組みを応用した。

 チームが中南米にすむモルフォチョウに注目したのは、羽の表面にあるとても小さな凸凹や膜などの構造によって、光を反射して美しい体色を生み出すからだ。こうした仕組みは「構造色」と言われる。色素の色ではないので色あせることがない。

 CDやDVDの裏面が虹色に見えるのも、データ記録のために付けられた微細な凹凸が、構造色を生み出すからだ。太陽光は白く見えるが、実際には赤や黄色、緑、青などの多くの色が含まれ、それが反射して見える。

 ただ、モルフォチョウの多くの雄が持つ羽は、どの角度から見ても青系統の色が強く見え、虹色にならない。そこで、チームは「虹色にならない」というモルフォチョウの特徴が利用できるのではないかと考えた。

 うまく光を広げるための採光窓を作ろうとして、窓に加工して光を曲げたり、広げたりしようとすると、室内に差し込む光が虹色になってしまう、光の明るさが弱くなるといった課題があったからだ。

 そこで、モルフォチョウの羽の表面に似た、とても小さな凹凸を窓ガラスにつけた場合、室内に差し込む光がどうなるのか、コンピューターで計算した。その結果、一般的な窓に比べて光が広範囲に広がり、窓ガラスを通った光が虹色にならないことを発見した。微細構造をつけたことによって透過した光の明るさが下がることもなかった。

 さらに、様々な微細構造のパターンで計算し、光がよく広がり、色の変化も少ない、より効率的な微細構造を突き止めた。阪大の齋藤彰准教授は「ガラスに加工するのは大変だが、微細構造を施したフィルムなどを窓に貼れば低コストで簡単に部屋を明るくできる可能性がある」と話す。

 モルフォチョウは、羽表面に付着する鱗粉(りんぷん)が構造色を生み出す特殊な微細構造をもつ。鱗粉は拡大すると、表面に本棚のような構造がいくつも林立している。本棚の天板にあたる部分が一定の間隔で何枚も積み重なっていて、ちょうど青色の光を反射しやすい距離になっている。さらに、それぞれの本棚の高さがばらばらに並んでいることで、青系統以外の光が反射されにくくなり、虹色にならないという。

 論文は、米科学誌(https://doi.org/10.1364/JOSAB.422426別ウインドウで開きます)に掲載された。(矢田文)