「小兵」と決別 十両・宇良、ミニマリズムにこめた覚悟

鈴木健輔
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 夏場所の前、十両・宇良がこんな話をしていた。「ちょっと、ミニマリストというのに憧れまして」

 身の回りのものを最小限まで減らす「ミニマリズム」を実践する人たちのことだ。Tシャツは5枚を残して全部捨てた。ほかの衣類もすべて5着と決めている。家具や家電も最小限。部屋は今、掃除が「拭くだけ」で終わる。リフレッシュ効果があるという。

 いざ捨てようと思うと迷いませんか? そう報道陣から聞かれると、「そう思うものは捨てるんです。自分に本当に必要か問いかけることですね。相撲への影響? あります。決断に迷いがなくなります」。

 ミニマリズムにめざめたのは昨春。ひざの大けがによる長期離脱と復帰を繰り返し、三段目で優勝した後だった。

 22歳で関学大から入門した2015年には172センチ、113キロの体でアクロバティックな取り口が持ち味だった。今、143キロ。大きくなった体で押しを重視する相撲が目立つ。それでも「あと10キロくらい増やしたい」。太りにくい体質なのに食べ続ける。「嫌ですよ。つらいですよ」

 増量にこだわるのは、以前のスタイルが原因で両ひざをけがしたと考えているからだ。「動くからけがをする。動かなければいい」。今の自分を「昔より、確実に体は強くなっている」と言い切る。

 ただ、こう続ける。

 「昔みたいな動きができるかといえば、できない。(今は)失ったものを別のもので補ったような形です。けがもあって仕方なくこういう形を取っている」

 葛藤の末の決断に28歳の覚悟がにじむ。力士は地位を上げてなんぼ。軽快な動きでファンを喜ばせることができても、けがで土俵に立てなければ意味がない。

 西十両2枚目の今場所は5日目まで4勝1敗。かつての相撲スタイルに別れを告げ、3年半遠ざかる幕内への復帰をめざしている。(鈴木健輔)