高安が静かな闘志を燃やす理由 あの大関と同じ転落経験

竹園隆浩
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 大相撲夏場所5日目の13日、関脇高安は1敗を守った。

 「史上最大のカムバック」と言われる照ノ富士の大関復帰を、最も悔しい思いで見つめたのは高安ではないか。

 ともに大関からの転落を経験した。先場所は直接対決を制し、10日目まで2差リード。ところが終盤の5日間で4敗し、逆転優勝を許したのだから。

 今場所はここまで1敗。この日は初場所の覇者・大栄翔を相手に、左のかち上げから圧力をかける。強烈なのどわにもあごを上げずに両手突きで応戦。下から起こして押し倒した。

 高安の良さは力強さと荒々しさ。大関から転落した頃は腰痛で力も入らなかったのだろう。左差しにこだわり、半身で粘る相撲が目立った。ようやく力感が復活。兄弟子だった元横綱稀勢の里の荒磯親方との普段の稽古の充実ぶりも、体調が戻った証拠だ。

 取組後は穏やかな口調で話した。「力強い内容? お陰様で。昨日はふがいなかったが、しっかり反省して切り替えて。これからも守るのではなく、積極的に攻める相撲を取っていきたい」

 照ノ富士と同様、転落した関脇の場所で10勝の特例ではなく、再挑戦での大関復帰を狙う。そのためにも、先場所の10勝を足がかりにする成績が欲しい。まだ届かぬ賜杯(しはい)への夢もある。

 頼みは照ノ富士戦の相性の良さだ。飛ぶ鳥落とす勢いの相手が昨年7月場所で幕内に戻ってから4戦し、負け無し。「内容にこだわれば、結果はついてくる」と話す31歳は、静かに闘志を燃やしている。(竹園隆浩)