宮古島の贈収賄事件 市側の要望で業者の土地が候補地に

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 沖縄県宮古島市への陸上自衛隊配備をめぐる贈収賄事件で、市側の要望で、贈賄容疑で逮捕された業者の土地が駐屯地の候補地に加えられたことが、防衛省関係者への取材でわかった。前市長の下地敏彦容疑者(75)=収賄容疑で逮捕=は市長当時、この業者の土地について、市議会で「利便性がいい」などと発言していた。

 県警は13日、下地容疑者を収賄の疑いで送検。市役所と市内の自宅を家宅捜索した。捜査関係者によると、下地容疑者は金銭受領は認めているが、便宜を図ったかどうかはあいまいな供述をしているという。

 防衛省関係者によると、同省は当初、島北側の牧場地域を駐屯地の主な候補地としていたが、市側から要請があり、牧場地域とは別の、今回贈賄容疑で役員が逮捕されたゴルフ場経営の「千代田カントリークラブ(千代田CC)」の土地を候補に加えたという。

 市議会の議事録によると、下地容疑者は2016年9月23日の市議会で、防衛省側からは当初、牧場地域に一括配備する案を示されたと説明。そのうえで千代田CCの土地に触れつつ「(防衛省側に)隊舎を分ければ広く島の経済活性化にもつながると話した」と述べた。

 さらに同月26日の議会でも、千代田CCについて「経済効果は高いと思う」と発言。同28日は、「(防衛省側に)隊舎としては千代田の方が利便性がいいのではないかと話した」と述べた。

 一方、下地容疑者は牧場地域について、16年6月の議会で、駐屯地配備による水質汚染への懸念を挙げ「同地域での施設の建設は認められない」と否定。「その旨を防衛省にも伝えた」と述べた。

 県警によると、下地容疑者は、陸自配備の受け入れを表明することで、千代田CCの土地を駐屯地用地として国に売却できるようにするなどの便宜を図り、見返りとして18年5月24日ごろ、東京都内で千代田CC役員から現金約650万円を受け取った疑いがある。

 宮古島駐屯地は17年に着工され、19年に発足した。防衛省によると、駐屯地は隊舎を含めて約22ヘクタール。すべて千代田CCの土地で、用地取得費は約8億円。取得費を除く総事業費は約400億円に上る。

 加藤勝信官房長官は13日の記者会見で、選定過程について「特段の問題があったとは承知をしていない」との認識を示した。前市長の逮捕については、「警察による捜査なので、政府としてのコメントは控える」とした。一方、陸自トップの吉田圭秀幕僚長は会見で「正当な手続きで用地の取得を行い、駐屯地を開設したと認識している」としつつ、事件については「率直に言って残念に感じている」と述べた。