プロのサックス奏者がカレー屋に コロナ禍で発起 岐阜
岐阜市在住でプロのサックス奏者の野々田万照(まんてる)さん(56)は、コロナ禍で音楽活動がほとんどできなくなった。今、舞台をキッチンカーに切り替え、自慢のカレーを販売する。「音楽もカレーもエンターテインメント。喜んでいただければうれしいです」
今月、窓口業務を始めたばかりの岐阜市役所の新庁舎前広場に、キッチンカーが並ぶ。
知人から借りたキッチンカーで、11、12両日は「昭和のカレーライス」(税込み500円)と「チキンと青唐辛子のスパイシーカレー」(同700円)を20食ずつ販売。万照さんのファンや、香りにひかれた人などが次々に訪れた。
サックス奏者として、1994年から歌手の高橋真梨子さんのツアーに参加し、「熱帯JAZZ楽団」でも活躍する。岐阜市民のビッグバンド「楽市ジャズ楽団」の音楽総監督として三つのチームを率いるほか、作詞、作曲、音楽スクールの運営など多彩な活動をしてきた。
だが、新型コロナウイルスの感染拡大で、年間40~50本ほどあった高橋さんのツアーは中止。ほかのライブもほとんどできなくなった。「自分のCDも出せない。出しても演奏するところがない」と話す。
2016年からシンガーソングライターのプロデュースも手がけ、メジャーデビューさせたが、固定費の高い東京の事務所を維持できず、やむなく移籍させ、昨年9月に自宅のある岐阜市に拠点を移した。
カレーとの出会いは、高校卒業後に上京し、渋谷で食べたインドカレー。「さらっとして、スパイシー。衝撃でした」。店に通い詰め、自分で作り始めた。ツアー先には先乗りし、カレーの有名店を食べ歩いた。「僕ほど全国のおいしいカレーを食べた人、いないんじゃないかな」と笑う。
15年、「自分なりにおいしいカレーができた」と感じ、年に数回、イベント会場に出店したり、柳ケ瀬にある店を昼間だけ借りて提供したりしたが、本腰を入れて売るのは初めて。今後、レトルト商品の開発も考えたいという。
食材と「その日の気分」に合わせて17~18種類のスパイスから配合し、自宅で仕込む。「家中ににおいが充満し、妻には不評ですが」と笑う。「スパイシー=辛いというのは違う。ジャズもカレーも奥が深い。一流のものを知ってほしいという思いは同じです」
市役所前広場では14、20、21、27、28日、6月の平日の出店を予定。7~8種類のメニューの中から2種類程度を販売する。(阿部英明)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

新型コロナウイルス最新情報
最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]