東急、定期の利用3割減 沿線住民のつなぎとめに腐心

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初見翔
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 通勤通学の客を運び、ターミナル駅を中心に沿線で商業施設やホテルを営む。そんな私鉄のビジネスモデルが、テレワークの普及で揺らいでいる。業界を引っ張ってきた東急は、創業から来秋で1世紀。次の100年に向け、新たな収益源を探っている。

 13日に発表した2021年3月期の売上高は9359億円(前年比19・6%減)、純損益は562億円の赤字(前年は423億円の黒字)。「コロナが多大な影響を及ぼした」と常務の藤原裕久氏は振り返る。通期での純損失は04年3月期以来だ。

 鉄道以外も含めた多くの事業が「人の移動」を前提としており、外出自粛の直撃を受けた。

 鉄道の21年3月期の定期券利用者は前年より3割以上減った。東急によると、その幅は首都圏の私鉄では最大級。テレワークを採り入れやすい大企業勤めの住民が沿線に多く、ターミナルの渋谷にはIT企業が集積するため、という。

 22年3月期は、鉄道の定期外の利用は2割ほど回復する一方、定期利用の戻りは1割に満たないとみる。テレワークがコロナ後も定着すれば、将来的には鉄道沿線に住むメリットすら薄らぎかねない。

 鉄道網を大都市から郊外へと広げ、都心に通いやすい住宅地を造成。百貨店やスーパー、ホテル、文化施設などをつくって沿線の魅力を高めて、鉄道やバスの利用客をさらに増やしていく――。

 阪急の小林一三や東急の五島慶太らが確立したビジネスモデルは、多くの鉄道会社の模範になった。盟主とされる東急の赤字は、業界の苦境を象徴する。

コロナ前から予想、定期券も進化

 コロナ前から、東急に危機感はあった。

 19年秋に発表した「長期経…

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