菅首相と知事、自民の顔はどっち? 2連ポスター続々と

池田拓哉
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 任期満了まで半年を切ると、立候補予定者の単独ポスターを貼るのは禁止。ここで登場するのが「2連ポスター」だ。秋までにある衆院選に向けて、栃木県内でも新しい2連ポスターが次々に登場している。立候補予定者の隣に並ぶ助っ人の「顔」はどのような理由で決められたのか。

 昨年秋の自民党総裁選を勝ち抜いて「日本の顔」となった菅義偉首相。しかし県内では、自民の立候補予定者が決まっている4選挙区のうち、4区の現職佐藤勉氏(68)だけが菅首相とポスターで並んだ。佐藤氏の秘書は「当選同期で総裁選でも支持した。党総務会長の指名も受けた」と話し、佐藤氏との「近さ」を理由に挙げた。

 自民現職2人が起用するのが自民県連の顧問に就く福田富一知事だ。

 1区の船田元氏(67)は福田氏が知事に就任して以来、ずっと2連ポスターに起用しているという。船田氏の秘書は「福田知事は政治姿勢、信条、政策が似通った盟友」。

 5区の茂木敏充外相も福田氏と並んだ。木村好文県連幹事長は「選挙に強くて有権者に身近な人が選ばれるのは当然。全国では菅首相だが、栃木では昨秋の知事選で圧勝した福田知事が自民の顔だ」。

 3区の簗和生氏(42)が起用したのは上野通子参院議員。簗氏の関係者によると、来年の参院選で上野氏が改選を迎えることを意識したという。

 立憲の立候補予定者4人は全員、枝野幸男代表と並ぶポスターを作った。1区の新顔渡辺典喜氏(38)は「党代表でもあり、地元の宇都宮出身の枝野氏しか考えなかった」。3区の新顔伊賀央氏(56)は「枝野代表の顔ならば、車で通った時に立憲のポスターと一瞬でわかる」と話す。

 2区の現職福田昭夫氏(73)は、党代表代行の江田憲司氏も加えた「3連ポスター」を作製した。福田氏は「消費税減税を主張する同志」と、江田氏との絆をアピール。4区の新顔藤岡隆雄氏(44)は、応援演説を受けたことがある党副代表の玄葉光一郎氏との2連ポスターも作った。

 維新が県内で唯一擁立する1区の柏倉祐司氏(52)は、副代表で大阪府知事吉村洋文氏と並ぶ。1区現職の船田氏が起用した福田氏に対抗し、「知事対決」を意識したという。

 共産は1、5区に新顔を立てるが、本人の顔や名前を入れたポスターは作っていない。県委員会は「ポスターは党を印象づけるデザインにして比例区票を伸ばすのに役立てたい」と説明している。

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 衆院議員の任期満了は10月21日。総務省によると、選挙区内で個人ポスターの掲示を禁ずるのは、PR合戦でお金がかかる選挙を防ぐためで、貼っていたポスターははがさないといけない。ただ、政党が政治活動でポスターを掲げるのは自由。「立候補予定者」「別の人」「政党に関する表記」を1枚で同じ割合にすると、公示・告示まで貼れる「2連ポスター」に変わる。

 ポスターが選挙目的ではないと強調するために、演説会の日時や会場を小さく刷り込んでいるケースが多い。一緒に並ぶ政治家は「弁士」らしい。しかし実際に開かれた演説会を筆者は知らない。(池田拓哉)