「しゃべる」「くしゃみ」「せき」に注意 感染防ぐ肝は

新型コロナウイルス

聞き手・長崎緑子
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 【島根】新型コロナウイルス感染拡大の「第4波」で、山陰両県でも変異株が出現している。ウイルスを恐れすぎず、正しく感染対策をしていくにはどうしたらいいのか。感染が広がる仕組みと予防策について、景山誠二・鳥取大学医学部医学科感染制御学講座ウイルス学分野教授に聞いた。

 世間には、パンについたカビや食品を腐らせるバクテリアのように、ウイルスがどこでも増えるという誤解があるように思う。ウイルスは、生き物の体内の細胞にくっついて細胞の中に入り込み、その細胞内でしか増えられない、という基本を押さえて欲しい。

 では、新型コロナウイルスは、どのように感染を広げるか。感染した人の体内で細胞への感染を繰り返し、感染の繰り返しで増えたウイルスが、つばとともに体外へ出ていくことでおこる「飛沫(ひまつ)感染」が主な感染経路となる。飛沫がどこから出るかというと、鼻というより口だ。主に「しゃべる」「くしゃみ」「せき」の三つのどれかでウイルスを包んだ飛沫が口から外に飛び、他人の鼻や口から入り込めば感染する。

 いったんウイルスに感染すると、感染者の体内では、鼻の奥、のどの奥、気管支、肺へと、ウイルスは細胞内で増えてはまた別の細胞に感染することを繰り返し、体内に深く進む。やっかいなのは、肺の中で酸素と二酸化炭素の交換の場となる「肺胞」でウイルスが一気に広がり、感染者の一部で急に重篤な肺炎症状を示すことだ。

 現在は感染の有無のみを調べている検査でも、ある程度ウイルス量を把握できる。検査でウイルス量を測る体制がとれれば、重症化リスクが高いと予測できるウイルス量が多い患者を見つけられるのではないかと思う。

 新型コロナウイルスは、感染者の血液中にウイルスがでて血管内皮細胞にくっつくことも分かっている。血液にのって全身に流れる中で、呼吸器系に限らず、ウイルスに抵抗する免疫反応が過剰に反応してしまった場所でさまざまな不調をきたしてしまう。血栓症にも関わっているだろう。

 現在、感染力が高い変異株が恐れられている。新型コロナウイルスは変異しやすいとされるが、それは感染が膨大に繰り返される中で生じるもの。感染者数のすくない山陰で「鳥取株」や「島根株」が生じることはまずありえない。主な感染経路が飛沫感染ということを考えれば、これまで通り、距離を2メートルほどとることやマスクの着用など、人との接触をなるべく減らすことで感染予防できる。変異株は「細胞にくっついて感染しやすいから増えやすい」のであって、「変異株だからより遠くへ飛んでいく」なんてことはない。

 接触感染を心配するむきもあるが、手洗い、それも口や鼻に触れる可能性の高い指先をしっかりと洗うことで十分防げる。山陰両県は、大都市との距離がある程度とれていることや、順法精神のある県民性のためか、感染者数は抑えられている。変異株だからと特別なことをする必要はなく、これまで通りの感染予防対策をとって欲しい。(聞き手・長崎緑子)

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