韓国裁判所、日本製鉄の資産鑑定 売却命令へ手続き進む

ソウル=鈴木拓也
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 韓国大法院(最高裁)が日本製鉄(旧新日鉄住金)に元徴用工への賠償を命じた判決をめぐり、韓国の裁判所が韓国内にある同社の差し押さえ資産の鑑定をしたことがわかった。資産を売却して原告への賠償にあてる「現金化」に向けた手続きが進んだことになる。

 訴訟関係者によると、大邱地裁浦項支部は、同社が持つ韓国鉄鋼大手ポスコとの合弁会社「PNR」の株式の売却命令に向けて、鑑定人に資産評価を委託。鑑定人から1月15日付で鑑定書が裁判所に提出されたという。鑑定額に基づき、株式を売却して原告らの賠償に充てる現金化が実行されれば、日本政府の強い反発は必至だ。

 原告側は日本製鉄が賠償に応じないことから、同社の所有株式の差し押さえを同支部に申請。同支部は昨年6月、同社に対し、株式差し押さえの決定を伝えたとみなす公示送達の手続きを実施し、8月に効力が発生した。同社は即時抗告しており、係争中だ。

 同支部は、売却に関して意見を求める公示送達も行った。訴訟関係者によると、同社は今年2月と3月に同支部に対して意見書を提出したという。売却命令が出ても即時抗告するとみられ、係争中は実際の売却は行われない。

 一方、大法院が三菱重工業に、韓国人の元女子勤労挺身(ていしん)隊員への賠償を命じた判決をめぐっても、同社が韓国内に持つ二つの商標権と六つの特許権の売却に向けた手続きが進む。大田地裁が同社に資産の差し押さえを伝えたとみなす公示送達の効力が昨年末に発生。その後、同社は即時抗告したが、地裁は今年2月に棄却を決定。同社は今月10日に再抗告した。(ソウル=鈴木拓也)